第292号 人生チョイス

2025-04-30
第292号 人生チョイス

writer:彦 坂 訓 克

   

 5月になるとよく『五月晴れ』という言葉を耳にしませんか?5月頃のよく晴れた天気という意味で使われることが多いようですが、元々は『梅雨の晴れ間』という意味で使われる言葉のようです。最近では梅雨らしい梅雨時期がなく五月晴れどころか、春が過ぎたら梅雨時期を飛ばしてすぐ真夏で『猛暑』という感覚でしか有りません。この記事を書いている今も既に気温は今年初の『夏日』とか・・・。昨年に続き今年の夏も連日『猛暑日』が続きそうな気配がします。また、新たな環境がスタートした4月を越え、疲れが出てしまう時期でもあり、5月の連休後に『学校や会社に行きたくない』『眠れない』『何事にも集中できない』など、多くの人が受験や就職などの大きな目標を達成したことで『燃え尽き症候群』のような状態に陥ってしまうのを総称して『五月病』と呼ぶそうです。気持ちをリフレッシュすることや、心身の疲れを取ることができる【選択】ができると良いですね。

 人は【選択】をしなければならない場面がいつも起こり続けています。日常で起こる些細な事から、時にはその先の人生に大きな影響を及ぼす【人生の岐路】ともいえる選択もあるでしょう。例えば、些細な事(注:個人の感想です)では、今日の夕食何にしよう?とか、今日はどんな服を着よう?とかなどネットで調べたら、なんと1日に最大3万5,000回の選択(決断)をしているそうです。今回はその多い決断の中で人生の岐路ともいえる選択を私の人生を振り返って(思い出に浸りながら)綴っていきたいと思います。

 普通に地域の小中学校に通い、敷かれたレール通りの義務教育課程を過ごして中学3年には、卒業後の【進路】を決める時期が訪れてきました。私の父親は職人で建築業を個人で営んでおりました。私は子供の頃から父親の仕事(職人)になんとなく?憧れもあり、長男だったので単純に家(仕事)を継ぐことを選択するべきではないのかと思っていました。当時の私は職人に学歴はいらない(注:個人の感想です)、家を継ぐ道(職人への道)に進むのなら高校で3年間も学業に時間を費やすより少しでも早く小僧(今では使われないかも…)に出て、手に職をつけるべきと考えていました。父親にその旨を伝えると「これから先、個人の職人では仕事が減少し生活が不安定になり、食べていけなってしまう。進学してお前の好きな事をやっていけば良い」と父親は、家を継ぐ事に賛成ではありませんでした(押し切ってまで家を継ぐ意志は持っていませんでした・・・)。進学についてどの学校に進もうか?ということではなく、社会人か?学生か?が、私にとっての人生の岐路といえる最初の選択だったのではないかと思い出されます。

 今の様にスマホやインターネットなどは当然無く『マイコン』と呼ばれるコンピュータが一般家庭に少しずつ浸透し始めてきていた時代だったと思います。私はこのデジタル制御のプログラムやフローチャート(制御)に興味を持っていて、電気関係に少しでも携わって行きたいと思い工業高校に進学することを決めました。入学してからは真面目に勉強する訳でもなく、部活にも入って専念する訳でもなく・・・という高校生活を送りながら進路を決めないといけない時期がやって来ました。私は進学するという考えはなく、就職先(社会人としてのスタート)をどうするかの選択でした。地域柄、自動車関連の会社が多く色々迷いもありましたが、その頃に父親の仕事の関係で『三和機工』とのご縁を頂き、電気関係の仕事にも携わる事が出来ることも有って、縁に甘えてお世話になることになりました。

 1999年には、私達夫婦に息子が誕生しました。この頃は実家に同居していたのですが、別居する事を考えており借家か持ち家かと悩み【選択】している時期でした。当然、家を持つ様な資金は無くこの先、何十年という借金を抱えていくことになることや別居について妻や両親の理解も有り、翌年には家を持つことが出来ました。。

 人は『選択』をしなければならない場面がいつも起こり続けています。「あの時はこれで良かったのか?」「あの時こうしていれば良かったのかもしれない?」そんな風に思ったことはありませんか?私でいえば「職人の道に進むべきだったのか?」「違う会社に就職していたらどうなっていたのか?」「親と同居すべきだったのか?」です。答えを選んだ後、その答えが正解だったかどうかに不安になってしまう事ばかりです。【パラレルワールド】ご存知の方も多いと思いますが、ある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)を指します。映画やドラマなどで、過去に戻ってある場面をやり直すことで違う現実が展開していくというやつですが残念ながら現実では私たちは過去に戻り、やり直すことはできません。しかし『今』をどうするかは【選択】できます。つまり『今』を過去の延長線上のような振る舞いをするのか、新しい自分として振る舞うのかで次の展開が変わり始めるわけです。大切なのは【今】どう考え、生きることだと思います。。

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