第291号 しくじらない?先生
第291号 しくじらない?先生 |
writer:杉 浦 剛
ようやく寒い冬も終わりが近づきやっと過ごしやすい季節となってきました。今年の冬は近年稀にみる厳冬だったので、寒さが苦手な私は出来る限り外出を避けていました。気候が良くなってきたので気軽に外出もしたいのですが、ガソリン代やレジャー費の高騰により今度は私の懐が寒くなってしまうので当分の間は外出をなるべく控え、出費を抑えようと思っています。外出しなくても光熱費や食料品などのあらゆる生活必需品の高騰もあり、このまま物価高が続くのであれば税金の減額や国からの補助金等を望むのは私に限らず誰もが望む事ではないでしょうか?

話しは変わりますが4月といえば新生活が始まる時期であり入学式や入社式等、様々なイベントが思い浮かびます。かくいう私も学生時代に『自動車整備士』になりたくて高校卒業後、某自動車ディーラーへ就職しました。整備士を志望して入社したのですが入社式を終えた後に当時面接をして頂いた部長から「今年は自衛隊出身の整備士が2名入社し整備士は足りているので杉浦君は『部品課』に配属になります」と言われました。内心「えー今更かよ!」と思いながらもしぶしぶ承諾し、新社会人のスタートとなりました。私が入社した当時の部品課は久しぶりの新人だったので先輩方からとても親切にご指導や気にかけていただいたのですが、私のやりたかった仕事ではないとの思いから【遅刻】や【欠勤】を皆さんに迷惑をかけている事と感じずにやってしまっていました。そんな時、私の事を実子の様に面倒を見てくれた叔父から「事務系より技術系の方が向いている!」と勧められ『電気関係』の仕事で手に職をつけていこうと決意しました。再就職した頃は、まだ遊び最優先で仕事は言われる事をやるぐらいでしたが20代半ばを過ぎた頃に当時付き合っていた彼女との将来や生活の事を考える様になり、【遊び優先】から【仕事優先】への意識の変化が訪れました。
そんな心変わりが功を奏して【技術】や【知識】が日に日に身についていき仕事も楽しいと感じるようになっていき重要な案件も任される様になり充実した日々を送れるようになりました。当時は主に『制御盤製作』と『配線工事』を行っていましたが(もっとスキルの幅を広げないと…)と考える様になり30代半ばに思い切って『電気設計』にチャレンジする事を決意しました。電気設計の仕事とは主に工場内にて稼働する様々な設備や工作機械などの『電気回路図』の作図や『PLCのプログラム作成』『試運転調整』等、多岐にわたります。不安でしたが早く仕事を覚えて会社や同僚の力になれる様に頑張って勉強したもののそんな簡単に覚えられる訳もなく何度も心が折れそうな時もありましたが、それでも自分が決めた事なので先輩方に解らない事は聞きながらレベルを上げていきました。数年間は苦労しましたが、頑張った甲斐もあり一人で仕事をこなしていける様になりました。
時は過ぎ三和機工に入社して17年が経ちました。人生の折り返し地点を通り越し、社会人としての人生も残り少なくなってきたなと痛感するこの頃ですが数年前から掲げている目標が有ります。それは【若手の育成】です。以前は自分のスキルアップだけが目標でしたが、年を重ねるにつれ体の衰えを痛感する様になり『制御係』の未来を若いメンバーに託そうという思いが強くなってきました。『電気設計』の仕事を覚えるには時間がかかります。特に『PLCプログラム』は難易度が高く、自身で組んだプログラムを思い通りに制御できる様になるまでには『教えてもらう』だけではなく『自分自身』で【経験値】を積んでいかないとなかなか身に付きません。時間は掛かると思いますが今までの『自分自身』の【経験】と【知識】を若いメンバーに伝授し、成長を見守るのが私の【責任ある襷の受け渡し】だと切に感じています。