第290号 孤独のTKG
第290号 孤独のTKG |
writer:新 妻 吾 郎
さて、今月のお題目の『TKG』とは裏腹?に~先ずは『うな丼』の話をしてみたい。別に『うな重』でも構わない。のっけから話はズレるが『丼』と『重』の違いは何か?それは端的に言えば【質】は変わらず【量】の問題である。『丼(どんぶり)』に入れる容器はお椀状に丸く『重箱』は四隅にキッチリとウナギと、ご飯が入るからである。因みに鰻重のランクも『松・竹・梅』とあるが(特上!とかもあるが)大抵の鰻屋さんは【質】は変わらず、ウナギやご飯の【量】で価格が変わるようである・・・本題に戻そう!のっけの重要な話題は『山椒』を、どの様にしてかけますか?という問いかけである。「山椒は、かけません!」と言われれば、そこで話は終了なのだが…。何かのテレビで観て以来!私は、その様にしているのである。まぁ~そんなスゴイ頻度で食べるワケでもないのだが…そのテレビを観る前までの私は、ウナギの上に山椒を振りかけていた。しかしテレビではウナギの下!ご飯の上にかける方が美味しいよ、と。つまり、ウナギの上にかけてしまうと~その店秘伝の継ぎ足しのタレと山椒がケンカしてしまうと云うのである。なので、秘伝のタレ→ウナギ→山椒→ご飯とサンドする事によって、それぞれの味が独立しながら重なり合って旨味のハーモニーを奏でて、より一層!美味しくなった!…ような気がする。←バカ舌か!とにかく~順番を変えるだけの『チョットひと手間』に目から鱗(うろこ)なので~是非!お試しあれ♪…あれ?ウナギが食べたくなって来てしもぉ~た!

さてさて話を振り出しに戻そう!あれは20年以上前のことだろうか…東京は西麻布という街で(渋谷の上で~六本木の下!)お取引様の接待をしていた。うろ覚えだらけだが…どなたかのご紹介で美味しいコース料理を頼み、ご紹介通りに美味しく!話も弾み!商談も上手く行ったのだが…はて?どんなコース料理だったのか?サッパリ覚えていない。唯一!憶えている事は、そのコース料理の〆が【TKG(卵かけご飯)】だったのである!美味しいコース料理は、ほぼ忘れたくせに…この『卵かけご飯』は脳裏に焼き付いて20年経っても離れない『衝撃』だったのである。さて、その作り方は!…後で、お話しよう・・・
話はズレまくり~私が以前からハマっているドラマがある…。それは『孤独のグルメ』である。元々は漫画であり、ドラマとなり今年の1月には映画公開となった。主演は松重 豊さんで、私が大好きな役者さんである。この作品をご存知の方には説明するまでもないが、松重さんの役名は『井之頭 五郎』である。ドラマのエンディングソングも「五郎~♪五郎~♪」と、とても親近感を覚える作品だ。どんなドラマかとザックリご説明をすると、自分が選んだ目の前の一食に!真っ向から独りで向き合う話である。もう3年前になるか?私が腰椎ヘルニアで入院していた時も『病院食』を相手に(うむぅ~そう、きたか♪)と、リアル孤独のグルメになってしまい…咀嚼(そしゃく)と口の中に広がる味わいを堪能する五郎を真似る吾郎が、しばしば出てきてしまい・・・う~む、話が先に進まん。
・・・『卵かけご飯』というと~ご飯にチョット穴をあけて、そこに混ぜた卵をかけて醤油をタラリ…というのがオーソドックスな作り方だと思うが、そのコース料理の〆の【TKG】はチョット違った。①先ず、卵をそのまま混ぜるか〜黄身と白身に分けて、白身だけチョット泡立ててメレンゲ状にするも良し②ご飯をよそって自分の好みで醤油をかけて〜ここで『醤油ご飯』を作る!←コレ結構〜大事♪③最後に泡立てたメレンゲ状の白身をのせて、黄身を添えるか…そのまま混ぜた卵を醤油ご飯にぶっかける!…の、以上である。もう少し『料理の鉄人』の様にこだわるのなら①の卵は上質なモノで常温が良い②のご飯も上質で炊き立てが良いし醤油も上質で常温が良い。何故なら冷蔵庫で冷やしたモノより熱々で食べたいからである!冒頭のウナギの話じゃないが~ひと口、口に運んだ瞬間!まず卵の風味が先に立ち、醤油でコーティングされた熱々のお米が後から追いかけて来て、これぞ!『究極の卵かけご飯』となる!…気になる方は黄身に付いてる白いヒモ状のモノを取り外しても良い…が!あのヒモ状のモノは『カラザ』という名称で黄身を卵の中央に固定し衝撃から守る『役割』のようで、人間の『へその緒』とは役割が異なるらしく〜実は栄養素がカナリ高い!…と、こだわりの付け足しは以上である。さて!順番を変えるだけの『チョットひと手間』に目から鱗(うろこ)なので~是非!お試しあれ♪…あれ?卵かけご飯も食べたくなって来てくれたかな…?
最後に、こんな単純な作業の中にシェフというプロの方々は更に〜ひと手間も、ふた手間も加えることだろう。ただ、バターや海苔やネギ・とろろ・キムチ・ラー油・麺つゆ・わさび・ごま油 etc…などなど、何か【別の物】を加えるアレンジも出来るのならば味は無限に広がるだろう。だが、単純に具材(材料)は同じ!順番(やり方)を変えるだけで成果(結果)は歴然!・・・さぁ〜固定概念を覆そう!