【三和新聞】46号

2004-09-01
第46号 インドの車窓から

新聞に記事を書くのは久しぶりで、何を書こうかと思っていたところへ幸か不幸か突然の海外出張を命ぜられ「インド共和国」へ行って来ましたのでネタが決まってしまいました。「インド共和国」というと馴染みがないかもしれませんが「インド」です。世界第2位の人口10億人が住んでいるインドです。その北部にある首都デリーから南西へ30Kmほどの所にある街に滞在しました。緯度的には日本の奄美大島ぐらいです。気温34度程で日本とあまり変わりません。冬にはセーターも必要だそうです。5月は45度位だったそうですが・・・雨期ということもあり暑さを感じるのは工場内だけでした。短期間(4日)ということもありホテルと会社の往復だけで街にでることもなく帰ってきてしまったので語れるほどの事はありませんが通勤途上の車の中から見た風景をお話しします。

9月【第70号】 インドの車窓から

ホテルから会社まで約80Km程離れているので、ほぼ全区間高速道路を走るのですが朝は1時間帰りは1時間半もかかるのです。この高速道路が凄い!。日本のように一般道と完全に分離されてるわけではなく中央分離帯がある片側2車線の道路なんですが並行して走る一般道からの出入りは自由。途中に料金所もあるのですがその脇には普通に一般道があります。だから高速道路とは言っても対向車線を逆走してくる車は毎日何台も見ます。最初は助手席で固まりましたが二日目には慣れてしまいました。その程度では驚いていられません。日本では考えられないこと又、絶対に見ることはできないであろうことに高速道路を牛が歩いています。街中に牛がいっぱいというのは観光案内やテレビ等で知ってる方も多いと思いますがもちろん高速道路にもいます。分離帯の上や道路脇で寝てる牛もたくさんいます。野良猫・野良犬・野良牛です。他にも高速道路を歩く「ロバ」「ラクダ」「ゾウ」などもいますがこれらはだいたい荷車を引いています「野良」ではなく飼い主がいます。ほかにも高速道路を横断する羊の群れなんてのに出逢ったら大渋滞です。羊飼いがいるのに平気で横断させます。高速道路なのに・・・のんびりした国なんです。事故や故障車もよく見かけます。車の定員なんて決まってないのかもしれませんが日本の2倍は乗っています。リクシャー(昔日本にあったオート三輪みたいなタクシー)に10人位乗っていたり、バスの屋根の荷物キャリアに20人位乗っていたり、車のバックドアを開け2人ぐらいしがみついて15人位乗っているランドクルーザーなんてのがたくさん走っていますから事故が起きたら死傷者多数!なのではないかと心配してしまいます。屋根の上に20人も載せたバスが80Kmで走行し側溝にはまって横転してるのですから無事ではすまないはずです。高速道路でも街中では交差点があり渋滞します。信号もあったりなかったりですがどちらでも一緒です。誰も守っていません早い者勝ちです。2車線のはずが交差点近くなると4~5台は並びます。それが交差点の中心ではあらゆる方向に向かって混沌としたインドそのものになります。その中に牛が寝そべっていたりするともうわけが判りません。運転手の感がたよりのライン取りで交差点を抜けるのに10分位かかります。街は混沌、一歩はずれれば大草原の広がるのんびりした国でした。また機会でもあれば臭くて汚い危険な街の中も見てみたい気もしますが、好んでいく気にはなれません。短い滞在でしたから、間違っているかもしれませんが無事に帰ってこれた喜びの個人的な感想でした。と締めたところですが、また近々行かなければならなくなりそうな気配です。この記事が発表される頃には日本にいないかもしれません。この記事を書いている横で「緊急で・・・」「インドのビザが・・・」と聞こえています。海外に行くことをうらやましがられることも多いのですが、「旅行」ではなく「出張」ですから楽しくはありません。できることなら行きたくはないんですが「業務命令」には逆らいようもなく、「あの国に行きたい」「あそこへは行きたくない」「航空会社は○○○で行きたい」などは許されない海外出張です。「○月○日の○○便で○○へ行きなさい」といわれればそれで行くしかないのです。しかも「帰りの便は変更可能だから」というのは「予定通りには帰れないよ」の同意語だったりします。海外旅行とは大違い。添乗員がいるわけでもないので初めての国へ行くときには特に大変なんです。右も左も判らないところで「CLICK」←こんな文字の看板見てもどうしようもありません。かろうじて空港はどこの国でも英語が併記してあるのですがそれも異常に小さな文字だったりする所もありますから文字通り「右往左往」します。英語ならと言ってもほとんどしゃべれませんから同じなんですけど、書いてある文字なら辞書を引いて確認できます。でも「CLICK」←これでは辞書も引けません。短期出張ですからヒンディー語を覚えようとも思いませんが、「英語だけは勉強しなくては!」と海外出張のたびに思うのですが帰国と同時に忘れてしまい、思い出すのは出発日だったりするので相変わらず英語はにがてです。出張の予定が入るのが突然なことが多いせいでもありますが、日本語も満足ではないのに英語なんてそう簡単に覚えられるものではないからと自分で勝手に納得して旅立ちます。海外旅行の計画がある人は早めに勉強した方がいいですよ!日本語だけでも何とかなる所もありますし、英語だけではどうにもならないこともありますが、大きなホテルとか百貨店では使えることが多いですし、空港は問題なく使えます。現地の人とのコミュニケーションがとれれば旅の楽しみは広がります。外から見て初めてわかる日本の良さもありますから皆さんも日本を脱出してみて下さい。

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