【三和新聞】186号

2016-05-31
第186号 『一期一会』
writer: 杉浦 秀幸

四季のなかでも春から夏にかけての、今の時期が一番好きです。6年前から始めたガーデニングも少しずつ整理されてきて、庭に植えてある花も春になるとちゃんと芽が出てきて花が咲き、ミニトマトやキュウリにナスなど夏野菜を植えると庭がとても賑やかになります。休日になると庭の雑草取りをしたり、自然がいっぱいある公園に出掛けては咲いている花の名前を覚えたり、きれいな草花があると庭に植えてみたくなるほどハマっています。今回は、そんな花好きな自分と高校生の娘と『愛・地球博記念公園(モリコロパーク)』へ出かけた時のことをご紹介致します。

公園にはアニメ映画『となりのトトロ』に登場してくる『サツキとメイの家』を映画のまま再現した家があり、森の中には自然がいっぱいで子供も大人も楽しめるのではないかと思い行くことにしました。やはり、はじめはモリコロパークのメイン『サツキとメイの家』に行き、昭和の香りがする家の中や井戸を見て廻りました。自分が小学生の頃に自宅にあったものと同じものもあり、見ているとその頃を思い出しとても懐かしく思えました。その後しばらく公園内を歩いているとチラシを配っている方が「イベントをやっていますので是非!ご参加ください!」と声を掛けてくれました。チラシには『インタープリターと歩く森のツアー』というイベントで森の案内人インタープリターと共に森に入り、自然とふれあい遊びを体験するツアーと書かれてありました。森にある草花の名前などを教えてもらおうと、軽い気持ちで参加することにしました。

参加者は自分と娘、男子小学生2人とそのお母さん、そして40代ぐらいのカップルの7人で池の周りにある林道を廻ってくる50分間のツアーでした。森への入り口は自然を壊さないように普段は鍵が掛けられているそうです。その入り口で、ひとりひとりにA4サイズの白板とペンが渡されました。・・・これは何?と思っていると、インタープリターの方が「五感や想像力を使って遊びます!」と一言。「今から歩く林道で感じたことを、この白板に書いてください!」と説明され、木や葉などを触ったり森のなかで聞こえる音や花の香りなど、五感を使ってそれぞれ感じたことを書いていくという遊び?の、ようです。それを聞いた娘は、すかさず「意味ワカランし・・・」とぼやきました。自分も正直、遊びに来てまで勉強みたいなことはしたくない!と感じていました。しかし、今さら「やめます!」とも言えず、渋々林道へと歩き出しました。林道ではインタープリターの方がそこに生えている草木の説明をしてくれるので、感じたことを書きながら森の中へと進んでいきました。
娘は「何を書いたらいいのか、サッパリわからん・・・」と言ってきたので「自分が感じたことを書けばいいんだよ!・・・答えなんてないんだから♪」とアドバイスしました。娘にアドバイスしながら自分にも言い聞かせ、感じたまま書いていきました。林道を20分ぐらい歩き、池のほとりにあるデッキで休憩をすることになりました。そこで休憩した後、インタープリターの方が「今から皆さんが書いたものを、ここで発表していただきます♪」と言い出しました!それぞれが書いたものを大きなボードに集めて今日感じたことのまとめをするようで、自分も少ないながらも発表しました。・・・発表も終わり、あとは来た林道を帰るだけだとホッとしていたら「それでは!今日感じたことを、俳句にしてみましょう♪」と軽く笑顔で言われました。それも「5分間で完成させて下さいネ♪」と・・・娘と顔を見合わせ『最悪だ!』と、うなだれました。

気楽に参加したイベントで俳句まで作らないといけなくなり、参加したことを後悔していましたが、しかし!周りを見ると他の参加者は書いていて、しかも!小学生の子も書いている・・・自分たちだけ『書けません。』なんて言えるワケもなく、何とか考えて発表しました。最後に「今日ここで会えたのも、一期一会です♪」と締めくくられました。参加したことを後悔した思いも多々ありましたが『一期一会』の言葉聞いた時、その思いは少し和らぎました。確かにこのイベントに参加しなければ初めて会った人たちと森の中を散策して感じたことを発表しあったり、俳句を作ったりすることはなかったでしょう。参加することで幅広い年代の人たちの自然に対する想いを聞くことが出来、とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。これからの生活の中でも毎日会う家族や職場の仲間たち、そして初めて会う人たち、全ての人に対し『今日が最期』という気持ちで誠心誠意!接していこうと、気持ちを新たにした1日と成りました。

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