第262号 未来のアーティスト達へ

2022-10-31
第262号 未来のアーティスト達へ

writer:鈴 木 昌 彦

 3カ月ほど前になりますが、社長から11月号のメイン記事担当のお話を頂きました。お題目は何にしようかなと悩みましたが私が今感じている事を書きたいと思います。今年の夏は猛暑日の観測史上最長記録更新のニュースから始まり9月に入ってからも35℃を超える体温並みの暑さが続きました。このまま秋はやってこないのかなぁと心配になるほど【地球温暖化】に歯止めがかからない状況にあります。さて、今年2022年の『立冬』は11月7日です。立冬直前で、やっと秋めいてきました。

 

 11月といえば紅葉やレジャーなどでお出かけし、色々な秋を満喫でき過ごしやすい季節だと思います。『食欲の秋』『スポーツの秋』『芸術の秋』『読書の秋』『実りの秋』…など色々ありますが『食欲の秋』で代表的な魚といえば、サンマです。価格も安く手軽に食べられるということでサンマは我が家でも毎年美味しく頂いている魚です。特にこの時期は脂がたっぷりのっていますので塩焼きにして食べるのが1番の楽しみです。パリパリに焼いた黄金色の皮と香ばしい香りに包まれた脂たっぷりの身が口の中で広がっていく独特の旨味は白いご飯とお酒にもよく合います。そんな美味しいサンマが近年では漁獲量が減少し今年もかつてない不漁との事です。これまでのところ漁獲量が少ないだけでなく大きさも昨年以上に小さめで流通量は従来の1/10程度に留まります。燃料の高騰と国際情勢が微妙な影を落としており、不漁の原因は気候変動や外国船による漁獲が増えた影響とみられます。以前は100円前後で購入することが出来ましたが、ここ数年の極端な不漁で安くて美味しい秋の味覚のイメージは過去のものになりつつありそうです。地球環境の変化が私たちの身近な生活にも影響を与えてしまい、寂しい限りです…。

 『スポーツの秋』ではヤクルトの村上宗隆選手がレギュラーシーズンの最終戦で56号の本塁打を放ち、日本人選手のシーズン最多記録を更新しました!日本人では王さんの55本を超えられないと言われておりましたが、最終打席での到達には本当に感動しました。また1本のホームランが劇的なドラマとなり球場の雰囲気や試合の流れを変えてしまうものなので不思議な魅力を感じます。さらに史上最年少で『三冠王』を獲得し、若干22歳での記録達成にも驚いています。若くして野球に取り組む姿勢や考え方がしっかりしており日頃の努力が報われた瞬間だったと思います。

 村上選手と同じ22歳の頃を振り返ってみた時に、私も「プロの機械設計者になりたい!」という夢と希望を持って某会社に入社しました。入社した当初は年配の方が武蔵工業製の『ドラフター』と呼ばれる製図機を使って、手書きで図面を書いて若手が2次元CADを使って設計をしていたと記憶しています。入社して2年目の頃だったと思いますが2度の大きな失敗をしました。1度目は先輩と広島へ承認図の打ち合わせに出張した時です。初めての新幹線での出張にすごく緊張していたと思いますが、普段と同じ格好の作業着と安全靴で駅へと向かってしまったのです。駅では先輩に怒られて慌てて自宅まで戻りスーツに着替えた事を覚えています。その間に先輩は客先と交渉をして時間の変更という形で迅速に対応して頂きました。私の確認不足で先輩に迷惑を掛けてしまい申し訳ない気持ちと先輩とのコミュニケーションの大事さを学んだ出来事でした。

 2度目の失敗は1人で台湾へ承認図の打ち合わせに出張した時です。その頃、同僚たちと仕事帰りに飲んで帰るのが日課となっていた私は出張前日にも関わらず楽しくお酒を飲んでいました。この日は旅行気分でお酒が進み、目覚ましのセットを忘れて寝過ごしてしまいました。小牧空港まで電車で行く予定でしたが急遽、車で行く事になり当時はカーナビもありませんでしたので地図だけを頼りに無我夢中で空港までたどり着いた事を覚えています。幸い搭乗時刻に間に合って事なきを得ましたが、海外出張で気持ちが緩んでしまいプロとしての自覚に欠ける行動だったと思います…。

 私は22歳で大きな失敗を2度経験して【コミュニケーションの大事さ】と【プロとしての心構え】を学びました。あれから30年の時を経て後輩たちへ教える立場となった現職場の環境も随分と変化しました。外国人メンバーも増えてグローバルに対応しなければなりません。言葉や文化の違いで上手く伝わらない部分もありますが『言葉のキャッチボール』を粘り強く続けて行きたいと思っています。彼らは設計者としてのセンスもあり、無限の可能性を秘めていると思います。将来、大空にアーチを描くホームランのように大きく羽ばたく日が来る事を願っています。

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