第252号 信用と信頼

2021-12-31
第252号 信用と信頼

writer:小 谷 野 一 彦

 新年おめでとうございます、本年も宜しくお願いいたします。2020年より続くコロナ禍も昨年の秋ごろから少し落ち着き始め、新しい日常が始まる感があります。このまま落ち着いた状態が続くことを切に願います。私事になりますが先日、娘婿のご実家へやっとご挨拶に伺うことができました。ふと目にとまった彼の幼少時代の写真が、私の子供時代にそっくりで驚きました。一般的に娘は父親似を選ぶのかなぁと思いましたが生活スタイルは私と違い、家事や子育てを積極的に手伝っている姿には家族を大切にする意志を感じています。ご挨拶の段取り等も色々な事を考えてくれており、比べて考えると『娘が父親似を選ぶ説』は立証できませんが孫の誕生と共に、良き息子が出来た事がコロナ禍の中でも我が家の嬉しい話題です!

 先日その息子より私の読んでいた『ファクトフルネス』の本を貸してもらえませんか?とお願いがありました。この本はスウェーデン出身のハンス・ロスリングが書いたビジネス書で、ぶらりと立ち寄った本屋でベストセラーの帯が目につき購入した書物です。題名は造語ですが意味としては「データを基に世界を正しく見る事」で、文中にこんな質問があります。「現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう? A=20%B=40%C=60%」あまり考えた事のない質問なのでイメージで私は【A】と思いました。答えは【C】なんとこの質問の日本人の正解率は7%だそうです。私も色々なニュースで途上国と言われる場所での、惨状を見たり聞いたりしてネガティブ本能を膨らませ、自身のイメージで初等教育を受けられる人は20%しかいないだろうという思い込みをしていました。相当に大雑把な説明ですが、きちんとしたデータを基に物事を見て、正しい判断をすることの重要性が書かれています

 世界規模の話は正直ピンとこないので、我々の仕事に置き換えてみます。チョット極端ですがこんな会話から・・・「○○不良が発生しました!」「原因は何だ?」「多分××です!」「対策はどうした!」「△△しましたので多分OKだと思います!」「よしわかった今後も注意しよう!」・・・なんとなくありがちな会話と感じませんか?正しくは、何個(数値)出たのかとか、どういう発生状態(事実)なのか?対策後の確認(事実に基づいた数値的根拠)はどのようにしたのか?【三現主義】とよく言われますがこの会話には現場の様子の【見える化】が無いため現場を見ていない、すなわち現状(事実)を見ずに『大丈夫』と言っているから、多分大丈夫だろうという思い込みをして「今後も注意しよう!」で終わってしまっているのです。しっかりと現状を捉え、思い込みでの判断ではないかを振り返りながら、正しい判断で事に当たっていけば、いろいろな人からの信用にもつながります。

 さて、【信用する】とは『過去の実績や事実に対して行うもの』逆にいうと【信用される】とは『過去の実績や事実で行われるもの』ですので「とにかく!これから頑張るので信用して下さい!」は、頑張った事実(誠意ある行動)・実績が無ければ信用できない、信用されるものでないのです。事実や実績を積み上げれば信用され、結果2022年のスローガンであるキーワード【信頼】をされることになります。信頼とは信用(過去の実績)を源泉にして『この人に任せてみよう!』と思ってもらう、いわば『未来に対して行うもの』です。また保証されたものではなく、一瞬で消えてしまうこともあるのです。

 新年早々堅い話となってしまいましたが、最近仕事でも家庭でも今までの【信用】があったからこそ【信頼】され身を任せられる事なのだと、失うときは本当に一瞬なのだと実感しています。また信用信頼を調べる中で、福沢諭吉の名言が心に残りましたので書き記します「人望はもとより力量によりて得べきものにあらず、力量があれば人望が得られるものではない。誠実さによって、徐々に得られるものなのである。」徐々に得られる・・・大事ですね!この名言は大切にしたいと思います。さて2022年は日常的にお客様の所に出向いたり、飲ミュニケーションで笑い合えたりが出来るようになりたいですね!可愛い孫に会う機会も増やしたいですしね!ということで私の今年のテーマーは『人とふれ合い、笑い合いたい!』にしたいと思います。ただし!お得意の酔いつぶれで【信用・信頼】を無くさないよう注意が必須です!

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