第238号 人がモノを買う時の気持ち

2020-10-31
第238号 人がモノを買う時の気持ち
writer: 小 林 照 宜

 コロナ禍の影響で半年以上前から買い物のほとんどを近くの店舗やインターネットで済ますようにしています。行きたい店があってもその店舗が市外に位置するとなかなか行くことが出来ません。流行が始まる前の暮らしに早く戻ってくれることを強く願っています。秋から冬にかけて『インフルエンザ』と同時に流行する恐れがあるそうです。ひとりひとりが、より一層感染予防対策をとっていきましょう。

 先日、久しぶりに作業着の下に着るTシャツを買いに出掛けました。皆さんもご存じと思われる仕事用の衣料品の販売から始め、今や女性用のスポーツ用衣料まで販売して急成長を遂げている・・・『あの店舗』です。その駐車場に入ろうとして、停めてある車の数に驚いてしまいました。以前は駐車場も空きが多く店内も閑散としていたのですが店内に入ると、所狭しと商品が並べられ店内には20人位のお客さんがいました。それぞれの人が色々な商品を見ています。女性の方の姿も、多く見受けられます。私はお目当てだった品物をカゴに入れ、店内を見て回っていると青い靴に目が留まりました。『軽量』と書かれたその靴の値段を見るとなんと!・・・\980円です!私は思わず目を疑ってしまいました。作りもシッカリしています。今履いている靴が古くなっていたので、私はその靴も購入することにしました。その時!私は、この店舗の【成長の秘訣】はこういう理由だと実感しました。買うつもりもなかった靴(品物)を、お客に買いたい!という気持ちを抱かせる『キッカケ』を作り、買わせてしまう。「さすが!売れている店は違うな!」と感じました。

 話しは少し変わりますが、ここ数年で市内にはドラッグストアが乱立してきました。私の住む地域には同じ町内に複数軒のドラッグストアが営業している所が有ります。数100mしか離れていないところに同じような店が有るのです。最近も隣町にもう1軒開店しました。こんなに店舗があって共倒れにならないか?と思うくらいです。薬や日用品を買ったついでに店内を見て回るとスーパーマーケットと同じくらいの品揃えがあります。食料品も豊富です。新鮮な野菜や肉の他にも豆腐やウドンが20円に満たない価格で販売されています。どうしたらそんな価格で販売できるのか感心してしまいます。私もその店へ行く度に思わず低価格商品を購入してしまいます。消費者心理を上手く突かれてしまっている感じです。私は自宅での晩酌は焼酎を炭酸で割って飲んでいるのですが炭酸の500mlのペットボトルが\49円で売っています。しかし!実は、焼酎自体はあまり安くはないのです。安い商品で人を集めて他の物は通常価格で売っていく、それでも消費者としては『得した気分』がして何度も足を運び購入するのです。これも先ほどお話しした【成長の秘訣】ではないでしょうか。

 皆さんもインターネットで買い物をされたことがあるかと思いますが、ネット販売の良い所は自宅に居ながらにして『値段の比較』をして買い物が出来るところです。購入する前に商品の評価を見て(要するに『口コミ』ですね!)それで検討する事も出来ます。購入した商品は宅配で届きます。人との接触を避けて買い物ができる為、このコロナ禍でのネット通販の利用が更に拡大加速しているそうです。色々なサイトからこの商品はココ、あの商品はココと選んで購入が出来ます。私はプリンタ用のインクをネットで購入しています。ネットの方が価格の安いことが多いからです。また『讃岐うどん』を定期的に購入しています。無性に食べたくなる時が有り、思わず「ポチッとな!」(懐かしの『タイムボカンシリーズ』)としてしまいます。それぞれの商品のホームページを見ていると『〇〇ランキング第1位』『〇〇売り上げNo.1』などと書かれた広告が表示され、買いたい気持ちが刺激されドンドン『購買意欲』に火がついていきます。実際に、それらの広告戦略で購入の最終決断をする時も多々あるほどです・・・。

 人が『モノ』を買う時には、その物を「使用したい・所有したい」という気持ちが生まれ、その【品物を使用している時の自分の姿】まで想像を膨らませます。勿論の事、相反する「要らない物・欲しくない物」には買いたいという気持ちは全く起きないのです。この事は私たちの仕事にも深く関係することです。お客様が『何を思い、何を望んでいるか』を的確に判断し【ご提供する力】を付けて行くことが必要不可欠です。刻々と変化する状況に柔軟に対応していくと同時に、我々は『製品』に付加価値をつけて、いかにしてお客様に【購入意欲】を持って頂けるかを考慮し続け、仕事をしていく事が重要と考えます。
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