【三和新聞】217号

2019-01-31
第217号 くうねるあそぶ
writer: 太 田 敏 浩

今月が私の平成最後の三和新聞の記事になります。【平成最後の】は最近メディア等でよく耳にしますが、ようやく自分で使う事が出来ました。さて、今回は愛犬ニコの話です。ニコは2016年5月11日生まれのオスのミニチュアピンシャーです。口角がニッと上がった表情から『ニコ』と名付けました。体型は一般的にドーベルマンをそのまま小さくした様な感じですが、ニコは何故か首と足が短いずんぐり体型に育ってしまいました。愛犬と飼い主は似るといいますが、顔は似ても似つかぬイケメンなのに体型が似てしまう所にDNAだけでは説明出来ない見えない力を感じてしまいます。ミニチュアピンシャーは事前情報でとにかくヤンチャで手に負えないので、初心者には向かないとは聞いていましたが、小型犬だからと高をくくっていました。しかし家族に迎えたその日から想像を絶するニコとの激しい闘いが始まったのでした・・・。

ニコはとにかくイタズラが大好きです。ニコにとっては遊びなのかもしれませんが・・・。興味を持った物は届く所に置いてあると、とにかく齧(かじ)ります。そして前足で押さえて引きちぎります。咥えた物をブンブン振り回して放り投げます。ポケットに入れてあっても鼻先を突っ込んで取り出します。リュックのファスナーの合わせ目をグイグイ押してこじ開けて中身を取り出します。ワンプッシュの開閉扉付の靴箱は扉を前足でワンプッシュして開けます。これまでに被害にあった物をざっと紹介します。レンズが割れてフレームが千切られた【メガネ】。角が齧られた【皮財布】。噛まれてボコボコにされた【カード】。ページが引き裂かれた【犬のしつけ本】。靴ひもの齧られた【革靴】。ゴミ箱をひっくり返して紙を引き裂き、床いっぱいにぶちまかれた【部屋】。その度に唖然とさせられてきました。でも全てはニコが届く所に置いてあった事が原因であってニコが悪い訳ではありません。大切な物は高い所に置く。柵で囲って入れない様にする。といった対策をしてからは被害も落ち着いてきました。しかし、ニコはいつも『その時』を狙っています。そしてニコには驚異的な身体能力が備わっています。高い所に置いてあっても端に置いてあれば、ジャンプの最高到達点で鼻先をスッと伸ばして獲物を捕らえます。失敗しても諦めないガッツがあります。捕らえるまで何度でも何度でも飛び続けるのです。

更に食べる事が大好きです。朝ご飯をお皿に入れた時に一粒が柵の向こうに落ちた事を察知しています。朝ご飯を食べてから部屋を離れたとしても部屋に戻ると、朝ご飯の一粒を前足で柵の中に入れて探ります。ヒットしないと柵の中への侵入を試みて入り口をあちこち探します。鉄壁の防御で侵入を阻んでいるつもりでも何処かに綻(ほころ)びがあると侵入して餌をゲットするのですが、それだけでは満足せずに柵の中を荒らして去って行きます。そして夜、眠くなると上手に毛布に包まってイビキをかいて眠るのです。常に全力で生きるニコとの闘いはこれからも続きますが、その全力さが毎日の生活に活力を与えてくれています。

皆さんは【くうねるあそぶ】という言葉に聞き覚えはありますか?【食う寝る遊ぶ】を繋げたこの言葉を2年半前に家族として迎えたニコにピッタリな言葉だと思っていたのですが、ふといつ聴いた言葉なのかと検索してみると、昭和の終わりから平成の始まりに放送されたテレビCMの一節でした。コピーライターの糸井重里さんが高度経済成長の後に【食う寝る】に【遊ぶ】を加えたい思いから出来た言葉のようです。今年は4月で平成が終わり新年号が始まると共に働き方改革元年となります。30年経って仕事のツールは変化して便利になりましたが、効率に目を向けた仕事運びが出来なかったように感じます。仕事の中にも【あそぶ・遊び心】を持ち合わせながら、何かを変えてみる事が大切だと思います。そろそろ老眼と物忘れが始まった自分としては、若い人達の新しい発想を期待しています。それを上手に制度化するのはおじさん達の役割です。試行錯誤しながら、【働き方改革】を実現していきたいですね。

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