第242号 ルールとマナー

2021-02-28
第242号 ルールとマナー
writer: 彦 坂 訓 克

 ある日の朝、父から「すぐにみんなで、来られるか?」といつもと同じで遠慮がちな電話が有りました。私はこの連絡を受けた時には、急を要する『みんなですぐに来い!』ではなかった意味を知る由もなく・・・。妻と子供と急いで支度して向かった先の病室には静かに横になっている母のベッドの横で1人、父がパイプ椅子に座っているだけだった。私が「もう!?」と聞いても、ただ無言で私達の方に向けた父の目からは(私も間に合わなかったんだよ・・・)と言っていた。だから「すぐに来い!」という気持ちを抑え「すぐに来られるか?」と父はきっとそう言ったのだろう。風邪も滅多にひかない、いつも丈夫で元気だと思っていた母が原因不明?の肝臓病を患い入院生活を送っていました・・・。

 そんな母が入院していた時の事ですが、私はなかなか時間も取れず(言い訳ですが・・・)あまり見舞いに行く事もしなかった親不孝者だったのです。見舞い行った帰りには母が必ず言ってくれていた、少し元気がない【ありがとね】の【声】だけが何故か思い出されます。昨年には十七回忌の法要を済ませ、先月(2月)でちょうど他界してから17年も経ちました。父親も母が他界してからは一人で生活(またも親不孝・・・)をしてきていましたが、最近では悲しいことですが老いも進み、ぼちぼち1人での生活が難しく、心配な状況になってきてしまっています。本当に時の経つのは・・・早いですね。

 話は変わりますが、私は知り合いの方に紹介して頂き、三和機工に無事入社してからあっという間?で、もう33年目となってしまいます。(後悔している訳ではないですよ♪)入社当初から部署名こそ変わった時期は有りましたが【量産製造部】に所属。社内での量産加工品の仕事にずっと携わってきましたが、そんな私に大きな転機が・・・。三和機工社内の職場を離れ、違う環境での職務の命を受けました・・・(後悔している訳ではないですよ♪)先に云ったように私は他の企業での経験が無く、30年以上続いた環境がこの歳で変化する事に私には何をどこまで出来るのだろう?と正直、不安でしか有りませんでした。

 もう少しで早2ヶ月になろうとしています。少しずつ慣れてはきましたがその中で、新しい環境に対応していく事で今までとは違う?忙しさ(今まで暇って事ではないですよ!)を日々感じています。この忙しいと感じる事や、楽しいと感じる事、怒りを感じる事・・・この【感じる】って事が出来るのは良いことではないのでしょうか?常日頃、慣れ親しんだ環境ではこの『感じる』という気持ちが慢性化してしまいがちです。私達は常に感じるという気持ちを高めていくことが必要な事だと思います。毎日忙しくその日を振り返える余裕もない。しかし、その日を振り返る『感じる』事で自分をブラッシュアップ出来るのではないでしょうか?

 また【ルールとマナー】に関しても考えさせられる事となりました。製造業のルールとしては『安全・品質・生産性・コスト』などに関する項目が主体となると思います。職場、業種により多種多様では有りますが、ルールを厳守・徹底していく事がとても大事な事だと恥ずかしながら再認識させられました。ルールにより『業務レベルの統一・モチベーション向上・業績アップ』などがメリットとされています(受け売りですが・・・)。ルールを守る事とはグループや組織の【責務】で有り、最も大切なのは何故するのか?何の為に守らなければならないのか?目的や目標をメンバーが【共通認識】して行動する事だと痛感しております。

 マナーとは『ひとり』の空間では求められない事で有り、守る事で『お互い』が気持ちよく過ごす為の【心遣い】で、思いやりや配慮を体現する行動。相手との信頼関係を築くには非常に重要とされています。(毎度?受け売りですが・・・)相手が何を求めているのか?何が必要なのか?何に困っているのか?などに【気付ける感受性】を高めていくことだと思います。スローガンでもある『相手のことを思いやれる人になろう!』思いやりがある人とは?と調べてみると『掛け値なく優しく、損得を天秤にかけない』と有ります。あの母の少し元気のない【ありがとね】の声が聞こえてきます・・・。私は母に思いやりや配慮、思いやれる人になれていたのでしょうか?父のようにあの状況で「来られるか?」と言えるのだろうか・・・?人生は『一生涯勉強』という言葉も有ります。ですので、相手のことを思いやれる人になろう!
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