【三和新聞】203号

2017-11-30
第203号 老いる前に
writer: 小林 照宜

 今年の春、1番下の娘が高校を卒業し進学しました。我が家には長女、長男そして次女と3人の子供がいるのですが、やはり末っ子はいつまでも可愛く、ついこの間まで保育園に通っていた様に感じます。そんな娘がもう大学生!自分も歳を取ったと痛感します。その彼女が今年から家から出て1人暮らしを始めました。家に帰って食卓についても、いつも座っていた所は空席。なんだか寂しい気がしています・・・。

 現在娘は東京で、看護を学んでいます。数年前に放送された医療関係のテレビ番組に感化されてか『ドクターヘリ』に乗ってみたい!と言い出して以降、進路を【医療関係】に絞って勉学に励んできました。残念ながら高校時代は部活に精を出し過ぎて学業が伴わず、第1希望であった医師への道は叶いませんでした。しかし、それでも【医療関係者】になる!という彼女の意志は固く、看護師を養成する大学校に進学することができました。さて、4月の初旬に入学式があったのですが、家内の都合が悪かったため自分1人だけ入学式に付き添いました。ほとんどの生徒が女性の学校なので少々出席をためらいましたが、折角の娘の晴れ姿を見たい気持ちで出席しました。一般的な学校と同じく入学式では学長の挨拶があります。入学式での挨拶というものは大抵つまらないものですが私たちの健康にもかかわる話が多く、さらに娘の将来を考えると自然と真剣に聞き入っていました。国の最新医療を学ぶ『国立高度専門医療研究センター』の看護師を育成する教育機関であること、その『国立高度専門医療研究センター』が全国に6つあり愛知県内には『国立長寿医療研究センター』があることを知りました。私を含めて家族全員、老後はその研究センターで最先端医療を受けながら過ごせないかと淡い期待を抱いています。

 娘が医療関係に進んだこともあり、今までは何の気なしに見ていた医療関係のニュースも興味を持って見るようになりました。昔は『不治の病』とされてきた癌も全ての人が完治なる所まではいかなくても延命することができるようになりました。また、胎児超音波検診の進歩にも目を見張ります。私の長女が生まれた頃は超音波検診の走りでセンサーをお腹に当てただけで胎児の姿が見えた事に大変驚きました。次女が生まれた頃になると画像が鮮明になってきて検診の度に大きくなっていく子供の姿に感動をした事を覚えています。今ではカラーで見える検査もあるようで日進月歩で発達する技術の進歩に驚かされます。

 特に今後の医療で大きな期待をしているのは『iPS細胞』です。2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中教授が研究を続ける『iPS細胞』は、再生医療の切り札とされ日常生活を楽しめる寿命である健康寿命を大きく伸ばすことが期待されています。有り難いことに私の両親も健在で、毎日早朝から畑仕事に赴き健康に暮らしています。しかし80歳を超えたいわゆる後期高齢者ですので、いつ病気になったり介護が必要になるか分かりません。自分自身もそうです。今日これからでも病気を発症し、事故に合い、受傷するかも知れません。そんなときに『iPS細胞』が有れば病気や怪我を負った細胞を再生させる核となり私たちの健康を取り戻してくれることでしょう。これからの日本は急速に高齢化が進んでいくと云われています。娘は高齢化の流れに合わせ長寿医療を主に勉強したいと言っています。『iPS細胞』の実用化にはまだ時間がかかりそうですが、とても期待しています。

 これからの日本は今まで以上に医療が大事になっていきます。近代看護教育の母であるナイチンゲールが「進歩し続けない限りは、後退していることになる。」という言葉を残しています。娘も毎日の勉学や実習で、医療人としての進歩を続けているはずです。私も技術者として娘に負けない様、毎日着実に【進歩し続ける努力】が必要不可欠であり。実践する所存です。

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