【三和新聞】30号

2003-05-01
第30号 ・・・の向こう側

今年の2月~新車を購入した。前の車はディーゼル車で、10月から東京では乗れなくなるからである。乗り心地は最高!ルンルン気分で早速、嫁さんとドライブに出掛けた。街並を抜け、郊外に出た途端、下っ腹がモーレツに痛くなった。コレはヤバイ~完璧にモヨオシタ!しかし、辺りを見渡せど、あるのはパチンコ屋のみ。喩えようのない激痛に、額は脂汗~もう限界である。・・・私は2年ぶりにパチンコ屋に飛び込んだ。危機一髪!というトコロで、なんとか難をしのいだ。安堵感もさることながら、久々に入ったパチンコ屋のホールを見渡してビックリ!台の機種の変化というか進化が目覚ましいのである。液晶画面がとにかくスゴイ!ちょっとした感動である。久々に、少しだけ打ってみた。

5月【第54号】 ・・・の向こう側

私は昔から、パチンコよりパチスロ派である。パチンコはハンドルを捻って、ジッと動きがないのが、どうも堪らないのである。なので、スロット台に腰を決め込んだ。スロット台も最近は、パチンコとパチスロの間の子みたいなマシーンが多くてビックリ~とにかくナント!1000円でかかっちゃったのである!そして連チャンに継ぐ連チャン!機械がブッ壊れたのではないかと思うほど止まらないのである!結局、1000円が数十万円に化けた。数万でも十数万でもない。数十万である。あらビックリである。しかし、それと引き替えにそれだけの【時間】を費やした。ドライブは、ほぼオジャンである。また、変なトコで【運】を使ってしまったようで・・・気分は複雑である。複雑ながらに私は昔を思い出していた。そう!私は12年前、バイトでパチンコ店員だったのである。

当時、私は22~23歳・・・確か、2年間ほど勤めた。そこで、様々な人間模様を垣間見たのである。忘れられない思い出をいくつか挙げると~ある日、店長が飛んでくるのである。「新妻君!ちょっと!」呼ばれて行った先は男子トイレ・・・近づくに連れ、悪臭が漂ってきた。嫌な予感である。トイレに入ると、出なかった客が腹いせにやったのであろう~自分のウ○コだけを出して、左官屋のように壁一面、綺麗に塗りたくってあるのである。芸術である。いや、そんな問題ではない。汚い話しで大変申し訳ない。とにかく圧巻!ホント参ったのである。また別の日、店長が飛んできた。「新妻君!ちょっと!」呼ばれて行った先は男子トイレ・・・嫌な想像が膨らむまでもなく、近づくとトイレから黒煙が出まくっている。出なかった客が、今度は火を出したのである。消火器とパチンコの箱に水を汲み、バケツリレーのようにして応戦!なんとか小火(ぼや)で済んだのだが、コレもカナリ参った。また、ある日~今度は店長が飛んでくる間も無かった。それは、目の前で突然!ホールの天井が崩れたのである!パチンコ屋は大抵~パチンコ台を流れた玉は下のベルトコンベアで回収され、エレベーターによって屋根裏に集められている。従ってパチンコ屋の屋根裏はパチンコ玉の宝庫である。なので、重みに耐えかねた天井が破れ、大量のパチンコ玉がナイアガラの滝のように降ってきたのである!実は、この事件と同じ事が、少し前に大阪のパチンコ屋で起きていた。その時、死者を1名出したことを憶えていたので~パチンコ屋サイドは、思いっ切り必死である。まず、お客さんの避難を第一に!と思ったのだが、お客さんもお金同様のパチンコ玉が天から降ってくるのだから、拾うのに必死である!正にガチンコパニック状態であった!この時もパチンコの箱は大活躍!バチバチバチ!と豪雨?のようなパチンコ玉の雨を避け、天井の穴をなんとか塞いだのだが、ホールはパチンコ玉だらけ!店の自動ドアからも大量に流れ出て、店前の道路もパチンコ玉だらけである。その日の営業が直ぐさま中止となったのは言うまでもない。コレにも参ったが~流石に笑った。他にもパチンコ台に裏基盤を取り付ける~いわゆる【ゴト師】とのイタチごっこも日常茶飯事。学校帰りでランドセルを背負った常連客の子供達が、ホールの隅でいつも遊んでいる・・・膝元で寝ている子供の頭に灰が落ちているのにも気づかず、くわえ煙草でパチンコを打っている母親・・・胸が張り裂けんばかりである。景品交換所が襲われた!炎天下で車の中に赤ちゃんを置いたまま~なんて事件は、この話しの延長線上にあるようなモンである。現在のパチンコ屋は、だいぶ規制がしっかりしてきて、このような光景を見る事は少なくなったようだが、私が働いていた頃はよく目にしたものだ。ただ現在でも不変的な光景は、皆それぞれ1つの台が1つの世界で・・・没頭~夢中なのである。また、その台を次々と移り、転々と【仕事場】を変える人。一所にドッシリ腰を決め込む人。それによって、いつか【日の目】を見る人。見れない人。人生の縮図にも見えるような光景が、パチンコ店員の目線からは、失礼な言い方だが【下界】を見下ろすような感覚で本当によく見えるのである。

不景気になればなるほど、パチンコ屋は儲かると聞く。一発逆転を狙う人間の性(さが)なのかも知れない。偉そうに書いた私も、過去~確かにハマッた。ハマって、狂って、中毒になって、空しくなった。勝っても負けても空しいのである。しかし、今なおパチンコをやられている方を別に否定はしない。それは~やっぱり面白いからである。しかし今の私は、そんな人を魅了して止まない、そんな【機械】や【仕組】を創った【向こう側】の人になりたいと思うのである。

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