【三和新聞】47号

2004-10-01
第47号 真剣勝負 

お陰様で先月~息子・勇吾が1歳になった。『他人の子供は成長が早い』というが、自分の子供も結構~早いモンである。こないだ生まれた!と思ったら~あれよあれよと~もう1歳!子供が成長するスピードに、親としての成長スピードが追っついているかどうかが、どーも不安である。←自分で言うなよ。で、誕生日プレゼントというワケでもないのだがドンピシャ誕生日の9月25日!【 K-1グランプリ開幕戦】が【日本武道館】で行われたので出掛けてきた。格闘の聖地!武道館に1歳にして初見参!『強く、逞しく育って欲しい!』・・・ぬぁーんて言うのは、全くのこじつけ!本人もまず憶えていないことだろう。そう!全ては私の趣味に連れ回しただけである。「間違いない♪」(長井秀和・調)・・・う~む、やはり【親としての自覚】が問題のようである。←だから自分で言うなよ。

10月【第71号】 真剣勝負

さて、前説での「間違いない♪」(長井秀和)というフリが解らなかった方に御説明しよう。【長井秀和】というのは今、流行のお笑いピン芸人であり、「間違いない♪」は長井の決め台詞である。YAHOO!(ヤフー)の検索サイトでも「間違いない」と入力すると~まず初めにこの長井秀和の公式ページにHITする・・・間違いない。←しつこい。つまり今現在~若手お笑い芸人達は【ブーム】なのである。ここぞ!とばかりに降って湧いたように色々な芸人達が登場し、茶の間を沸かしている。【お笑いバトル】として日々、TVの中で【お笑いの格闘】をしているのである。皆、明日を生き残る為に・・・さて、1年ないし3年後には~誰が残っているのだろうか・・・。ブームといえば~前説でも触れた【K-1】も、またブームである。K-1は【格闘技ブーム】という枠に属し【立ち技最強】という事を全面に掲げている。またコレに近年~台頭してきたのが【総合格闘技】という事を全面に掲げた【PRIDE-プライド-】である。決してキムタクのホッケーの話じゃない事は~間違いない。←だから、しつこい。双方、立つだけで闘うか、グラウンド(寝技)でも闘うかの違いはあるが、要はどちらもリアル・ファイトの【ガチンコ勝負】である。さて、このガチンコ勝負を、ある意味~否定しながらもPRIDEに参戦した男がいる。それは今年「3、2、1、ハッスル!ハッスル!」の掛け声で一大ブームを巻き起こした小川直也である。私はハッキリ言って、余り彼を好きではない。しかし、先代の関係上~昔、これまた会ったことがある。まだ彼が柔道界で【期待の星】と呼ばれていた時代にである。握手もした。今よりもブヨッとした身体に、ヌボーッと口を開けたまんまで濁った眼光・・・<この人やる気あんのかな?>が、私の第一印象である。そんな彼のエッセーをつい先日、読んだ。ひとつ興味深い事柄が書かれていたので~御紹介したい。

PRIDE~つまりガチンコ勝負に参戦した小川直也の本来~提唱し続けているモノは、何と言っても【プロレス】である。そう!つまりはリアル・ファイトではなく、ショー的要素を含むエンターテイメント~THEプロレスなのである。ソコに彼は【夢】があると説く。それは何故か? ・・・一昔前、アメリカで一大ブームを興した「本物の殴り合い」は短期間で熱が冷め、その後、多くの州でTV放送が禁じられた。それはアメリカが銃社会であり、軍隊もある。暴力は身近であり、殺し合いでさえ絵空事ではない。ならば、それを敢えてリングの上でまで見る必要性がどこにある?と。・・・【倫理】の問題である。それと比べて今の日本の格闘ファンはどうだろう。勿論、人それぞれに楽しみ方があっていい。しかし、その背景には≪異常なストレスを溜める日常≫か、或いは≪平和ボケから来るねじれた残虐性≫があるのではないかと、小川は説く。また【地上最強は誰だ?】というフレーズに寄って集って戦い合うが、選手の大半はリアル・ファイトを望んでいないという。高額な賞金を得ても、それは一時のことに過ぎない。選手にだって家族と生活がある。本音は誰もが息長くリングに上がり続けることを望んでいるのだ。しかし、今の流れは強そうな者同士を闘わせ、雌雄が決するとその勝者を別の強い者と闘わせる。そして強さの【賞味期限】が切れると容赦なく関心の外へと追いやる。ソコに【リアル・ファイト】の残虐さがある、と。そして、この馬鹿げたサバイバルサイクルを繰り返すことにより、アメリカから10年の遅れをとっている日本人が、やがてやっと気付く・・・プロレスには【夢】があると。現に今、アメリカで人気が高いのはショープロレスWWE(団体)ではないか!と、小川直也は豪語するのである・・・。

まぁ~全てに納得というワケではないが、一理あると私も思う。確かに、この事は格闘技に限らずとも~昨今【勝ち組、負け組】と・・・企業・メディア・媒体と、様々な分野で明日を生き残る為、熾烈な戦いを皆、繰り返している。そして、その展開や結末は目まぐるしく早い。圧倒的な【一人勝ち】の背景には沢山の敗北によって築き上げられ、いずれそれが、巡り巡って我に仇を為すことを知りつつも、次世代に持ち越しなので「知ったこっちゃない!」と言わんばかりに【不条理】がまかり通っていることに憤りを感じる。【自他共栄・共存の精神】は何処へ。「甘い!」と言われれば~それまでではあるが、最近【違和感】を払拭しきれず~そんな言葉が頭をよぎる。

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