【三和新聞】58号

2005-09-01
第58号 買っても聴けない・・・

このところコピーコントロールCD(以下CCCDとする)なるものをあまり見かけなくなったような気がする。CCCDとは、CDのオーディオトラックをパソコンで読み取ることを妨害する技術を採用したオーディオディスクのことをいう。いつ頃から見かけなくなったのだろうと思い自分の買ったCDを調べてみると、大塚愛の「金魚花火」(2004/8/18発売)はCCCDであったが、わずか2ケ月後に発売された大塚愛の次のシングルである「大好きだよ」(2004/10/20発売)ではCCCDでなく通常のCDであった・・・。

9月【第70号】 買っても聴けない・・・

発売元であるエイベックスの広報を調べてみると、CCCD採用に関する方向転換を示唆するようなプレスリリースを発表していた。それによると「2004年9月22日に発売するCDより、コピーコントロール機能を施すか否かについて商品ごとに弾力的に決定していくこととする。」としており「iPodに代表されるようなHDDオーディオプレーヤーのさらなる普及を予想しており、新しい音楽の楽しみに対応する。」ということを理由のひとつとして挙げている。CCCDを最初に導入したのはエイベックスであり、このエイベックスの方向転換が他社に与えた影響は大きいようで、その後CCCDを廃止し通常のCDに切り替える会社が相次ぐことになる。どうやらこの時期がCCCD不採用の転換期になっているようだ。

このCCCDが生まれたのにはそれなりの背景がある。CCCDが導入された当時、レコード会社各社が理由を発表しているが、その内容は概ね次の2点である。①私的複製の範疇を明らかに越えるCD-Rへの複製行為。②インターネットを通じた違法な音楽ファイル交換。(これは著作権侵害による逮捕者がでていますね!)つまりパソコンを利用することによって容易に、しかもCDの販売価格より安価に音楽ソフトを取得できる環境になり、そのレコード業界にとって悪影響が出ているということであろう。その上著作権の問題も絡まり、業界としてはこのまま放置しておくわけにもいかず、対応策としてパソコンに取り込むことの出来ない仕組みを持つCCCDの導入を決定することになった。

このようにパソコンの普及により必然的に生まれたCCCDであるが、次のような問題点も指摘されてきた。①音楽CDプレーヤーで再生できない。(これは本当である。実際私の持っているDVDプレーヤーでは再生できないCCCDがいくつかあった!中でもガッカリだったのが大塚愛なのです!)②アップルのiPodのようなHDDミュージックプレーヤーに音楽を転送できない。③音質が悪い。(オーディオ雑誌によるとそうらしい。私は聞いてもよくわからないが・・。) 以上のような問題点もあり、それなりに普及していたCCCDであるが、既述のとおり一転して路線変更することになる。コピーであろうと正規販売のCDであろうと、市場に流通しないということはCDを発表する側のアーチストにとって、自分の音楽を視聴してもらう機会が減ってしまうことになる。そうなると口コミによる宣伝効果も限られ、 関連商品の売上の減少にも繋がり、 更なる業界の衰退に拍車がかかるということなのだろうか・・・。

著作権の問題に関していえば、最近いろいろな動きが出てきている。現在デジタル放送は不法コピーの対策がとられており、一回だけの録画しか許されていない。しかしこれは不便だということで、総務省の情報通信審議会において見直しが検討され年内にも結論を出すことになった。次世代DVDである青色レーザーDVDが普及するころには、デジタル放送が自由にコピーできるようになっているかもしれない。一方、HDDミュージックプレーヤーについては、私的録音録画補償金制度の対象に加えるかどうかが検討されている。この違法コピーの問題は、著作権を持つ側と利便性を求めるユーザー側との間で今後も延々と繰り広げられるテーマなのだろう・・・。最後に、最近出ている大塚愛のCDは、CCCDではなく通常のCDになっています。ちなみに私のお気に入りの大塚愛の曲は「金魚花火」ですが、セカンドアルバム付属DVDの金魚花火ショートフィルムはお勧めです。彼女はバラードの曲作りに才能がありますね♪

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