【三和新聞】63号

2006-02-01
第63号 息子

夜のドライブで新宿へ行った。眠らない街~THE新宿。目映いばかりのネオン街に異様な興奮を憶えたが、その日はそんな心の興奮をひた隠しにした。何故ならば、一緒にドライブを楽しんでいたのは他ならぬ家族だったからである。妖しげな二丁目界隈を通り抜け~超高層ビル街に差し掛かった時!後部座席でチャイルドシートに括り付けられていた我が愛息が不思議なジェスチャーをした・・・。

2月【第63号】 息子

「ほぉ~ら勇吾!大きいビルがいっぱいだよぉ~♪大きすぎて恐いねぇ~!倒れてきそうだねぇ~♪」助手席の妻は振り返りながら勇吾に話しかけた~その時「あれ?勇吾・・・アンタ!何やってんの?」と。ただならぬ妻のトーンに気づき、急いで路肩に車を停め後ろを振り返ると~劇画調マンガの1コマみたいに、上を向いて口を大きく開けたまま~何故かピクリとも動かない。「あれ?コイツ、宇宙と交信でも始めちゃったのか?」と私がボケると、「やだ!アゴが外れちゃうわよ!」とマジ声の妻が慌てだした~その瞬間!「ガブっ!」と勇吾が【何か】を噛んだ。「おい!ホントに何やってんだよ?」と、私が勇吾の見つめる先を目で追うと~サンルーフ越しに、超高層ビル・・・。「コイツ・・・新宿、食ってるぞ♪」

【三つ子の魂百まで】とはよく云ったモノで~勇吾に出逢うまでは、そんな幼少時で性格なんてハッキリと判るモンかねぇ~と半信半疑だったが・・・結構~最近~ハッキリ判るモンだと分かってきた。まず!私には似ても似つかず?目立ちたがり屋で短気で自分勝手である・・・。なので、小さい頃からそんな【成長】をよく見てきたモンだから~思春期に入っても『お前の考えてる事なんざぁ~手に取るようによく解る!』と、親は言い切る。が、「分かってたまるかぁ~!」と子供はツッパるので~親子喧嘩。・・・正に【人の輪廻(りんね)】である。親父の気持ちも解らないでもないが~子供の気持ちも忘れていない私がいるので、この繰り返しはしたくないなぁ~と思いつつ、今でさえ「お前!うるさい!あっちいけ!」と、まとわりつく息子に罵声を浴びせると「おめぇ!うるちぇい!ぶぁか!」と正にオウム返しの罵声返しに「ナメとんのか!コラぁ~♪」と、キレそうになるので~やっぱり将来も親子喧嘩は必至かしら?・・・ただ、先月半ばから『ホリエモンの無一モン報道』にスポットライトを“当てすぎている”マスコミ報道に~最近、影を潜めてはいるが決して無くなることのない『幼児虐待報道』の数々に出てくるような【あの行動】をとろうとは全く以て思わない。当たり前だ!とはモチロン感じつつ・・・子を経て親となり、初めて確信する~この想いか。・・・正に【親の背中を見て子は育つ】と云うが、子の背中を見て親も結構~育つ?モンである。

勇吾が生まれた2003年(平成15年)辺りを境に、生まれてくる子供の数より飼われる犬の数の方が上回り始めたヘンテコリンな少子化時代。一子相伝の北斗神拳?が如く~気合いを入れ、お金を掛け、期待を掛け、高望みをする気持ちもワカランでもないトコロだが~なるようにしかならん!と私は思う。【ウチの子に限って】なんて言っても、所詮は自分のDNAである。なので、そういう事よりも~まず【当たり前】の事が出来る人間になって欲しいと心から思う。・・・それは、悪いことをしたら『ごめんなさい』と反省し、謝ることである。そして、嬉しいことをして貰ったなら『ありがとう』と感謝し、その意を相手にちゃんと伝えることである。浅はかかも知れないが、この2つの事が出来ていれば結構~世の中渡って行けるモンだと私は思う。しかし、この単純で【当たり前】のことが出来ない大人が、いやぁ~実に多い。・・・言わない事に慣れる。言い訳に慣れる。言い逃れに慣れる。嘘を嘘で塗り固める。挙げ句の果ては逃げ出す・・・。ナメとんのかぁー!と思う。そして、そんなツマんねぇ~セコイ男には死んでもなるな!と、私は伝えたい。

人の痛みが分かるように、助け合う心があるように・・・なんだぁ~かんだと、あれやこれや・・・憧れや、欲望や、ボロもうけの罠が渦巻く街を横目に、超高層ビルのように巨大な【何か】が押し寄せてくる時代にも~精一杯の口を広げて飲み込んでやろうとする【凛】と構えた熱い心を、どうぞ百まで・・・と切に願う~親バカ心でした。

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