【三和新聞】153号

2013-09-01
第153号 30分のために!どんだけ~♪
writer: 杉浦 秀幸

「趣味は何ですか?」とよく聞かれることがあると思いますが、皆さん趣味はありますか?自分は20代の頃はサッカーとスキー、30代ではソフトバレーを始めるなど運動に関しては色々なものを趣味として行なってきました。しかし、なかなか仲間が集まらなくなって出来なくなったり、長く続かなくてやめてしまったものもあります。やはり運動については限界があるような気がしました。そこで“運動以外で一生続けられる趣味は何だろう?”と考えて『沢山なくても1つあればいい!ギターでも弾ければカッコいいじゃん♪』と軽い気持ちで30歳にしてギターを始めることにしました。高校生の時にエレキギターを購入して持っていましたが今さらバンドを組んでやるのも?というか全然弾けないし、仲間もいない。(笑)一人でポロポロ弾くにはアコースティックがいいんじゃない?とさっそく通勤途中にオープンしたばかりの中古楽器店をちょっとのぞいて見ようと立ち寄ったのが始まりでした・・・。

9月【第153号】 30分のために!どんだけ~♪

店に置いてあるギターを試奏させてもらった時のことは今でも覚えています。ギターを手にしてジャラ~ンと鳴らしたときのものすごくいい音に感動して魂を奪われました。そしてお値段が何と7千円なのです。安い!もちろん購入して今でもこのギターは大切に使用しています。ギターを購入してから本などを参考に練習をしてみましたがやはり全然弾けない。このままではまた長続きしないだろうと思い、店に張り紙がしてあったギター教室に入ることにしました。教室に通えばすぐに弾けるようになるかと思っていましたが、そうではありませんでした。教室は1週間に1回で、1回の講習はマンツーマンで30分ぐらいです。基礎的なものを教えてもらったり、練習するきっかけを与えてくれるだけでした。教室での30分の講習で上達するのではなく、次回の講習までに上手くなりたくてがむしゃらに練習をすることが上手くなる秘訣でした。“自分自身のやる気次第で上達する“ということを教えてもらいました。

また、このギター教室で【BLUES -ブルース-】という音楽に巡り合い、また一段とギターにのめり込んでいきました。【BLUES】とは19世紀後半ごろアメリカ南部にてアフリカ系の黒人によって生まれた音楽で、その中でも自分がのめり込んだものは1930年代の一人で弾き語りするもので、ギター1本で自分を表現するところに惹かれました。偶然にも同じ頃会社のKさんもギターを始め、そしてBLUESとも出会っていました。ギターを始めて1年過ぎた頃には1,2曲歌って弾けるようになっていましたが、人前で演奏をすることは考えてもいませんでした。

ものすごく恥ずかしがり屋で、多くの人の前で話をすることも苦手でした。そんな自分を引っ張ってくれたのがKさんでした。そして、お互いに上手くなりたくて“オープンマイク”に参加するようになりました。この“オープンマイク”というものは初心者から上級者までが参加できる、いわば初心者の発表の場なのです。初めはステージに立つのが怖くて無理やり出ている感じでしたが、自分が師匠と尊敬している方が「100回の練習より1回のステージの方が上達する!」と教えてくれました。確かに練習では出来ていたのに本番になると全然弾けなかったり、歌えなかったりと緊張して失敗してしまいます。それからステージ慣れするように積極的に“オープンマイク”に参加するようにしました。

そんなことを10年以上も続けていますと自分では考えていなかったようなこともあります。それはライブハウスから出演の依頼をいただきイベントに参加させてもらえることです。当然お客さんはお金を払って観に来るのですからそれはもうチョー緊張します。自分の持ち時間は30分です。この30分間で曲の構成、曲と曲の間のしゃべりなど、どのように自分を表現するのかを考え、またいかにお客さんに楽しんでもらえるかが毎回の課題です。これはかなり難しく今も勉強中です。ギターを始めたことで普段生活の中での30分とライブの時の30分の時間は同じでも考え方によってこの時間の大切さが大きく変わってくることを学びました。どんなことでも自分に与えられたものに対して準備をし、本番にどれだけ力を出し切れるかだと思います。初めは1%でもいいからそうして1歩ずつ進んで行くのだと思います。たかが30分、されど30分のために・・・。

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