第284号 残りの時間を楽しく生きる
第284号 残りの時間を楽しく生きる |
writer:彦 坂 訓 克
厳しい残暑が続いていますが、熱中症や夏バテなどされていませんか?今年の夏は福岡県太宰府市で最高気温35度以上の猛暑日が32日連続となり、気象庁の観測史上で国内の最長記録を単独で更新中とのことです。年々暑さが厳しくなっていく夏を今年も乗り切ることは出来るのだろうか?と思いながら暑さと戦って過ごしていますが、この歳になってくるとやはり昔ほど何をしても無理が利かない、体力が続かない、疲れが取れない等の高齢者予備軍となっているのは否めません。とくに最近では今まで過ごしてきた時間より、これから残された時間をどうしていくのか?何をしていかなければいけないのか?という思考というか思いが自分の中で大きくなってきています。『終活』のようにとらえられると人生の終わりを見越して行う行動というネガティブなイメージがありますが、残りの時間で今の自分で出来る事をする、残りの時間を楽しく生きるために出来る事をするというポジティブな考えです。それにはプライベートは勿論、仕事に於いても自分なりに【続ける・継続】【捨てる・やめる】【始める】を整理して明確にしなければ、人生後半の質は高まらないと思うようになってきました。プライベートな事はまたの機会があれば記したいと思いますが今回は仕事に於いての事を記させて頂きます。

私達世代(昭和)では、やはり生涯就職というのが基本的な考え方の時代でした。入社当時の勤務に関して職人だった親父から「最低でも3年は続けろ!」は勿論の事でさらに「1年は自己都合で仕事を休むな!」と言われ、会社では「仕事は見て盗め!」というような昭和あるあるで皆さんも耳にしたことは有るのではないでしょうか?若き私は、そんな時代を経験し、なんとか乗り越え?今や三和機工の勤続年数で数えたらトップ3に入っている超古株となっていました・・・。そりゃあ、残りの時間も気になってくるでしょう(笑)今では就職して1つの所に長く働く事より、自分に合った条件や環境でより良い仕事が出来る所を選択していく傾向が強く人材確保や人材育成に悩まされている企業は多いのではないかと思います。かくいう私も少なからず同じです。
日々の業務の中で自分がもう1人いたらどれだけ楽で助かるだろう?と1度くらいは誰しも思った事はありませんか?(私は日々思っています!)自分と意志・意向や技術が全く同じなので、何をどうしなくてはいけないのか、どうやりたいのかを言わずともこなしてくれるでしょう。例えるなら『クローン』でしょうか。【続ける・継続】していく為には技術継承や後任者(次世代)を育てていく事は必要だと思いますが、必要とされる技術承継者や後任者は時代や世代で影響されない『クローン』なのでしょうか?例えば伝統工芸や昔ながらの製法で変わらぬ味、代々からの秘伝のタレなど時代や世代で変化していない、させてない事が大切な事も有ります。しかし時代や世代に合わせ進化していく、させて行かなければ成り立っていけない場合がほとんどではないかと思います。後任者に自分の意志・意向や技術を継承していく中で時代や世代、環境で新しい事や違う思考が持てるように育てて行く事も必要となります。例えるなら繰り返す事で変化が生じる『コピー』でしょうか。また、継続するために【捨てる・やめる】事が必要になる場合も有るでしょう。全く自分とは異なった人材を育てていかなければいけない場合や手作業や作業者からの自動化、人材不足、新しい物事への転換や組織改革などでしょうか?また、「故きを温ねて新しきを知る」ではないですが、ずっと継続や継承してきた事がこの先も本当に必要なのかという事も吟味する事も必要です。皆さんが必要とされる【続ける・継続】は『クローン』ですか?『コピー』ですか?それとも【捨てる・やめる】でしょうか?
何かを【始める】には内容によっては相当なパワーを必要とする事もあります。それらをいくつも始めてしまうと逆にパワー不足となり残りの時間を楽しく生きる事が出来なくなってしまいます。始める為に終わらせるという考えも有ります。最近ドラマを見ていて知ったのですが「生者必滅会者定離」生まれた者は必ず死に、出会った人とは必ず別れがくるという仏教の教えのようです。「仕事を最後までやり遂げる」よく聞いたりしますが、残りの時間で今の自分で出来る事、残りの時間を楽しく生きるためを考えた時、この『最後』とは定年の事なのだろうか・・・?