【三和新聞】209号

2018-05-30
第209号 異国の地での労働
writer: 杉 浦 秀 幸

 先日、フィリピンエンジニアが5名入社してきました。2年前にも設計エンジニアとして3名入社しており、外国籍のメンバーの比率も上がってきています。生産現場でのメンバーは以前から数名、在籍していますがエンジニアとしての入社は今回で2回目となり今後の活躍を期待しています。今回は、【異国の地で労働をする】ということについてお話ししたいと思います。

 現在、私が所属している『専用機製造部』ではお客様から依頼された機械を国内は勿論、海外にも出荷しています。そしてお客様の依頼により現地据え付け、調整工事も行いますので私も多くの海外出張を経験してきました。その時、強く感じたことは【日本は安全な国だ】ということです。最近では日本でも凶悪な犯罪が増えてきていますが、それでも海外に比べるとまだ安全だと感じます。私が13年前に東南アジア地域に出張した時の話です。休日の昼間に同僚と2人で買い物に出掛けた時に信号待ちをしていたところ、同僚のまわりに3人の男たちが近寄ってきて話しかけてきました。その後、同僚が急に「やめろ!」と怒鳴り彼らを突き飛ばしました。私は少し離れていたので何が起きたのか理解出来なかったのですが、後で話を聞いて驚きました。それは海外でよく使われるスリの手口だったのです。数人でターゲットの気を引いている間にもう1人が財布を盗もうとしたのです。

 私は以前、中国で財布が入ったカバンを置引きされた経験から出掛ける時には財布を持たずに現金をズボンの前ポケットに入れるようにしていました。同僚はウエストポーチをしていたので現地の彼らから見ると『この中にお金が入っている』と教えてくれているようなものだったのでしょう。実際、他の仲間も地下鉄でウエストポーチをしていて被害にあったそうです。日本では女性はカバンを肩から掛けて口を閉めず財布が外から見えるように入れてあったり、男性も長い財布をズボンの後ろポケットに入れている人もいます。それはあまりにも無防備なことで改めなくてはいけない事とは思いますが、そんな光景を目にする度にやはり【日本は安全な国】なんだと実感します。きっと日本で働く外国の方たちは日常生活が安全に過ごせることで仕事にも一生懸命取り組むことが出来るのではないでしょうか。

 もう一つ海外出張の時に感じたことは【言葉の壁】です。現地スタッフへの仕事の説明・食事・買い物などが当然すべて英語になります。今ではスマホの翻訳アプリなどがあるため便利になりましたが、以前は英会話の本を片手に伝えたい文章を調べたり、紙に書いて見せたりしていました。私は学生時代から英語が苦手でしたので、相手が言っていることが何となく解るようになってもそれを英語で答えることが難しく苦労しました。その上、発音が違うようで全く伝わらない事も多くありました。帰国すると必ず『英語を勉強しよう!』と思うのですが結局長続きせず、未だに苦手意識があります。私の場合は短期間の渡航が多く、数週間か長くても2ヶ月程度の滞在だったので何とか仕事を終えて帰国することが出来ました。しかし、長期滞在で日本の技術を学びに来ている外国の方たちは仕事に加えて住んでいる地域とのコミュニケーションも必要になってきます。その苦労と努力は計り知れないと思います。

 某テレビ番組で出川哲朗さんがアメリカでスタッフの協力なしで『自由の女神に1人で行く』という企画がありました。出川さんが必死に英単語を話しているのですが全く伝わらず苦労していました。それでもジェスチャーやイメージする単語を伝えていました。その結果最後には目的地に到着できたのです。私も出張へ行っている時はまさにコレと同じでした。大切なのは言葉が解らなくても伝えたい事を必死に表現することです。仕事においてもこれと同様な事が言えると思います。自分のやりたい事、伝えたい技術を言葉や行動で必死に表現し、また相手の意図もきちんと理解することが大切だと思います。【言葉の壁】がない会社の仲間と目的意識を同じにして【壁がない会社】にしていきたいものです。フィリピンエンジニアの皆さんは日本語、私たちは英語が話せるように頑張っていきましょう!

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