【三和新聞】139号

2012-07-01
第139号 輪っかマンだぜぇ~♪
writer:新妻 吾郎

『借金で首が回らない!』と半分冗談?半分本気のジョークを飛ばしていたら~ホントの首が回らなくなった。そして何よりも痺れが酷く、特に右腕に強く出ていた。実は5年ほど前から患っていた。頸椎のヘルニアだと思っていた。接骨院や鍼灸マッサージに通い詰めては少しでも良くなるとツーリングでダメにしてきた。←アカンがな。今年に入ると症状はさらに悪化し、大きいハンマーで骨を直接殴られたような痛みと痺れでパソコンのマウスを持つのも辛く、箸を持つのも億劫(おっくう)で左手で食べていたら普通に食べられるようになった・・・人間、何事も慣れだ。←そーじゃないでしょ。

7月【第139号】 輪っかマンだぜぇ~♪

『琵琶湖の畔に頸椎手術のゴッドハンドがいる。』そんな噂を聞きつけて駆け込んだのは3年前。予約して、やっと順番が回ってきた。今では口コミで広まり、待機患者は約1500人!6年半待ちの状態らしい。さて、私の病名はヘルニアではなく、まぁ~ヘルニアも出ているようで、しかも椎骨の5番と6番が出ているらしく5番と6番、56・・・名前と一緒やん♪などとボケとる場合ではなく『変形性頸椎症』という病名であった。学生時代にバイクで事故って3度ほど、車を飛び越えたのが原因か?なんちゃってアメフトや、なんちゃってトライアスロンが原因か?とにかく何らかの原因で頸椎が小さく変形して脊髄神経を圧迫するので、強い痛みや痺れが出る病気なのである。MRIで撮った断面写真を見ると~通常20mm以上の頸椎内径が確保されていなければいけない所が、私の場合11mmしかなかったようで、この脊柱管を拡げる手術を受けたのである。7つの骨で構成されている頸椎。頭部に近い1番は手付かず~2番と7番は内径を削って拡げ、3番から6番はセラミックで出来た人工骨を4本入れて拡張した。一般的に『首の手術』というと難易度が高く、術後に麻痺などの重篤な合併症が出ることも多く患者にとっても医者にとってもハイリスクな手術であり二の足を踏むことが多かった。更に従来の術式は髪の毛をコボちゃんのように刈りあげ、20cmほどの切開範囲で、術後10日間は点滴生活をしいられるが、ゴッドハンドの独自に開発した手術方式だと髪を切ることなく、3cmほどの切開範囲で、点滴は術後1日だけである。なので、全国から1500人もの患者が待ちわびているのである。ただ私の場合、術後~先生に「普通は2フィンガー(切開)なんだけど~君は開けてみたら変形度合いが強かったから3フィンガーになっちゃった♪」と言われたが・・・。

4月の半ばに手術を受けた。「はぁ~い!新妻さん♪全身麻酔が入りますよ♪」手術台の上で点滴と酸素マスクから麻酔が入り、一瞬ピリピリとした感覚を受け『あ~気が遠くなるなぁ~♪』と思ったら起こされてアッ!という間に無事終了。しかし時間はちゃんと3時間は経過していて、鼻には呼吸器~両手には点滴。恥ずかしい尿管も入れられていて首の患部からもマトリックスのようなドレーンという管が差し込まれている・・・まさに管だらけ。更に手術中は頭部を完全固定するためにコメカミ辺りにピンを左右3点で頭蓋まで差し込まれ~まさにリアルフランケンやんけ~♪という状態でボッコリ膨らんでいる。本当に手術台で一瞬で寝て起きた感じだったが、散々苦しんだハズのあの右腕の痛みと痺れは全く無い。手術成功したんだなぁ~とボーッと実感。それから麻酔が切れ始めてきて~16時間ほどは地獄のような時間が始まる。合併症を起こしていないか神経感覚を麻痺させず確認する為、強い痛み止めを使えないからである。もうその痛みたるや~喩えるならば、首の皮膚をビリビリとゆっくり何度も破られるような感じである・・・痛いでしょ♪しかし、その地獄の時間を耐え抜くと次々~管が外され24時間後には起き上がり歩くことが出来るのである!まさに医療の神秘である。

その術式を受けた患者は皆~驚異的なスピードで回復していく。入院期間は平均で10日間ほどで、病院内は【輪っかマン】だらけが歩いている。会話はみんな「どっから来たの?」「いつ(手術)やったの?」「今、痛い?」の3点セットである。その会話に嫌気がさした私は、2週間は付けていないといけない輪っかを5日で外してやったぜぇい♪4ヶ月は運動禁止のところを2ヶ月で会社のスポーツ大会に出てやったぜぇい♪・・・今、ちょっと痛いぜぇい♪と、流行のボケをかましつつ・・・全身麻酔で頸椎手術、成功率は高いと云えども100%ではないので、それなりの覚悟と一応~遺言書めいたモノも実は書いた・・・。命をもう一度もらった想いで、一流の職人医師に出会えた奇跡に感謝して、生きていくことが本当に厳しい毎日をワイルドに生き抜きたい。

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