【三和新聞】21号

2002-08-01
第21号 責任は果たすもの

私達夫婦のブームはラーメンである。しかし、コレは以前にも書いた。繰り返すつもりもないし、またドンブリに浮かぶつもりもない。ただ、夜食ラーメン食べ歩きにハマっているのである。日中のうだるような暑さも、夜はそれなりに涼しい。去年の秋口に購入した250CCのスクーターバイクに乗り込み、TVや雑誌で紹介されたラーメン屋さんを目指し、都内をグルグル風を切って走り抜け、目的地のラーメン屋さんで何分、行列に並んだとか、麺がああだとか、スープがどうだとか・・・そんな他愛もない会話をしながら帰ってくるのである。都会の生暖かい風もバイクで走り抜けると気持ち良い。お腹も満腹でちょっとしたリラックスタイムである。そんな清々しい気持ちで走っていると、後ろからバイク便にビューンとブチ抜かれる。途端に私の中でバイク便をやっていた頃の魂にボッと火が付き、スーパーバトルへの展開となる。というのは嘘。今は大切な人を後ろに乗せているので、そのような運びにはならない・・・?!しかし約9年前、私がバイク便のライダーだったのはホントの事である。

「今回、挿絵と本文は全く関連がございません。 ラフティング・・・楽しかったね!」

8月【第45号】 責任は果たすもの

2年間ほどやっただろうか~雨の日も風の日もひたすら走った。色々な【お話】があるが今回、忘れなれない苦労話をひとつ。あれは真冬、夜勤をやっていた頃である。文京区にある出版社から荷物を受けて、埼玉県に住んでいる作家宅に届けるという仕事だった。届け先の住所を見ると、とてもアヤシイのである。うまく言えないが~郡・大字・字・ヲノ割?みたいなオンパレードなのである。しかも荷受先からは「先生は朝5時に起床される。それまでに届けて欲しい。場所が解らなくても届け先への電話は厳禁。ポスト投函してくれればOK。ヨロシクね。」思いっきりハマリそうなオーダーである。まさに誰かの尻拭い的な話なのだが、そんな【隙間】にバイク便の存在価値はある。渋々、私はその出版社を出て、凍てつく寒空の下、その作家宅に向かったのは夜中の1時であった・・・。嫌な予感は的中!この辺りかなぁ~と周りを見渡せど、まぁ~灯りもないのでバイクのライトで照らす限り、どう見ても山奥なのである。したがって地図を見ても住所区間の整理など殆ど皆無、なので番地を示す標識も見当たらない。ポツン、ポツンと家はあるが、どこも灯りがついていなければ、表札も出ていない家ばかりである。交番もなければ、コンビニもない。携帯もなければ、公衆電話もない。もう気分は砂漠に落ちた針を探すようで、ハッキリ言って泣きそうである。荷物を捨てて帰ろうかと思うほどである。そして、トドメは深々と降り始めた雪・・・これで、帰れなくなった。結局、日が昇るのを待つことにした。モチロン、寝てしまうと凍死しかねないので、身体をずっと動かして起きていたのである。荷物を届けられたのは7時ごろであった。やっと通りかかった大きな籠を背負ったお婆ちゃんが天使に見えた。だが、2時間オーバーである。しかし、届け先の作家さんは私の姿を見て、とても温かく迎えてくれた。電話をお借りして受け先に終了報告を入れたら、受け先はカンカンだった。とっても不条理な気分だったが、私は私が出来うる限りの責任を果たした・・・つもりである。その日、関東全域は雪に覆われ、私が自宅に戻れたのは夕方の6時。今でも良くやった!と自分を誉めたい気分である。さて、苦労話はこの辺で終わりにするが、良いことも沢山あった。バイク便の基本はハンドtoハンドなので、直接本人へ届けるのが使命であり義務である。つまり、普通なら立ち入り禁止の区域にズンズン入っていけたという事である。国会、官庁関連、テレビ局、空港、建設現場~様々な業種の様々な会社の中である。更にバイク便は1日平均15本ほど走る。荷受けて、荷届けるので30箇所。週5日として150箇所。月で600、年間で7200、2年だと・・・という計算は成り立たない。それはリピートもあるからである。しかし、少なく見積もっても企業だったら3000社は見てきた。これはとても良い経験となった。また1箇所につき、その本人に辿り着くまで最低でも1~2人の方に尋ねるので、人と話す機会は多いし、仕舞いには、受付嬢の応答ひとつでも、その会社の教育や、ムードや、勢いまでも感じ取れるようになったのである。さてさて今回、私の言いたいこと~電話を受けた時、相手先と接した時・・・その人の行動は相手先から見たら三和全体、三和代表なのである。各自の持ち場に責任を持って、その責任を果たして欲しいと切に願う次第である。モチロン!ワタクシも頑張りますよ!止まりませんよ!ブッち切りですよぉ~ん!ということで・・・約650人というライダー達を抱えるそのバイク便は、今日も都内を黄色い箱を積んで走り回っている。その黄色い箱の後ろにはステッカーが貼ってあり、ソコに書かれてある文字は【ISO9002 取得】・・・「14000シリーズも取ってみん!」とも言いたいが、ウ~ム・・・とも、思う。

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