第308号 人生の折り返し地点

2026-07-31
第308号 人生の折り返し地点

writer:鈴 木 嘉 孝

 1975年に生まれ、豊橋市で育った。『人生100年時代』といわれる今、50代という人生の折り返し地点を過ぎたところで迎えているのは【AI社会】の幕開けだ。激変する時代を前にして、自分の人生を思い返しながら考えてみよう。子どもの頃の休日には駅前でよく遊んだ。路面電車が象徴的で子供ながらにそれを誇りに感じていたように思う。西武百貨店やダイエーデパート、ゲームセンターに映画館。あの時代、周りにあるテクノロジーといえば、アナログテレビにリモコンが付いた事ぐらいだった。

  カセットテープにお気に入りの曲を録音して、友達と完成度の高いアルバム作りを競い合っていた。高校生になった頃には液晶付きポケットベルが登場し、卒業する頃には携帯電話がデジタル化して誰もが持つものとなっていった。続いてインターネットが社会に浸透し、スマートフォンが普及した頃から世の中が急速に変化してきているように感じる。【情報社会】という言葉があるが、皆さんもこんなことを感じたことは無いだろうか。旅行で初めての場所に行く時にインターネットで情報を集めて計画を立てて出掛けると、現地の画像や動画を事前に確認がてら見てしまっているため、現地に到着しても初めて感が薄れるというか、前にも来たことがあったような変な気持ちになったり感動が薄れたりする事が・・・。

 私は先日、友人と姫路までバイクでツーリングに出掛けた時には、もうひとつ感じたことがある。姫路の街並みも豊橋の街並みも同じ様なコンビニエンスストアや某大手ショッピングモールが並んでいて面白みに欠ける。せっかくここまで来たのだからもう少し違う景観を楽しみたいところだったが、時代と共に企業の経営統合が増えて全国どこに行っても同じような店が立ち並ぶようになってしまったことは非情に残念に思う。目的地を姫路に設定した理由のひとつには『資(すけ)さんうどん』という北九州発祥ソウルフードのローカルチェーンを訪れてみたかったという事がある。近年、全国展開を始めたばかりで去年、姫路にもオープンしたばかりだ。それを食べられたことは嬉しかったのだが、来年には愛知県にも数店舗、展開することが最近になって発表された。嬉しいような…複雑な心境である。このように便利な世の中になるにつれ、失われていく何かがあるように思う。そこでしか味わえない何か、そこでしか見られない景色、全く無くなったわけではないが、そういったことに出会う機会はかなり減っているのではないかと思う。

 そんなこんなでAIの普及が始まり、最近では二足歩行ロボットもかなり精巧なものとなってきた。こんな時代を生き抜くためと言う訳ではないが、私も生成AIを使って画像生成や動画生成をやってみた。初めは面白くて夢中になって生成したが、正直言ってスグに飽きてしまったので次は楽曲の生成もやってみた。大好きなヘヴィーメタルの曲からバラード曲まで簡単に作ることが出来た。しかし、これにもスグに飽きてしまった。恐らく簡単すぎるのが飽きる原因なのだろうと思った。苦労して作るからこそ出来た時の達成感や感動があるのであって、失敗したりするから次なる探求心が芽生えて飽きることもないのだろう。今後、人間自身が行動をロボットに任せるようになったとき、人の感情はどこに行ってしまうのだろうか。

 自ら行動しないで何を誇りに生きて行けばいいのか。デジタルネイティブな若い世代からすると何を言っているのだと思われるかもしれないが…昭和に生まれ、親父のゲンコツや学校の先生のハリピンに恐れを抱きながら【アナログ社会】を泥臭く成長してきた私からすると【AI社会】というのはなんだか余り歓迎できない。不便な時代のほうが、その分生き甲斐も強く感じていたように思う。さて、人生の折り返し地点でこのような時代を迎え、どのように残りの人生を生き抜こうか。AIは依存しない程度に上手に使いこなし、人との繋がりを大切にしていこう。バイクにも乗り続けたいので適度に運動して健康管理もしていこう。自ら考えて目標を立て、それに向かって真っすぐに誠実に。決められたレールの上を日々、ただひたすらに走り続ける…子どもの頃誇りに感じた、あの路面電車の様に。。

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