第304号 ブラッシュアップライフ

2026-04-30
第304号 ブラッシュアップライフ

writer:杉 浦 秀 幸

 2025年8月、私にとって初めての孫が誕生しました。娘夫婦にとっても初めての育児であり、私にとっても新しい家族の物語が始まった瞬間でした。娘は1年間の育児休暇を取得し、娘婿も半年間育児休暇を取得して育児に専念しました。私の若い頃には、男性が育児休暇を取るという発想すらありませんでしたから時代の変化を強く感じます。当時の私は「自分なりに育児を手伝っていた」と思っていました。しかし妻に聞くと「そんなに協力的ではなかった」とあっさり言われてしまいました。自分ではやっていたつもりでも、相手の感じ方はまったく違うものだと痛感しました。今思えば、もっと家族に寄り添う姿勢が必要だったのかもしれません

  そんな折、娘夫婦が新しい家を建てることになり、2025年11月から解体工事が始まったため、しばらくの間は我が家で一緒に暮らすことになりました。おかげで孫の成長を毎日、間近で見ることができています。最近はよく笑ってくれるようになり、その笑顔がとても可愛くて思わずギュッと抱きしめたくなります。泣き声の変化、表情の豊かさ、お座りができた瞬間、そのひとつひとつが懐かしく、忘れかけていた娘を育てた頃の記憶がよみがえってきます。私もお風呂にいれたり、寝かしつけを行ったりしていますのでまるで自分がもう一度育児をやり直しているような気持ちになります。孫の誕生は家族が増えるということの尊さと、その時間を共にできる幸せを改めて感じています。

 そんな日々の中で、私の心に強く残っている番組があります。娘が有料動画配信サービスで観ていた安藤サクラさん主演の【ブラッシュアップライフ】というドラマです。2023年に地上波で放送され、主人公が人生を何度もやり直し、徳を積みながらより良い人生を目指すという物語でした。コミカルでありながら深いテーマを持ち、私も思わず引き込まれました。この番組を観ているうちに「今の自分もまるで人生をもう一度やり直しているようだ」と感じるようになりました。孫と過ごす時間は若い頃の育児を振り返り、当時できなかったことをもう一度学び直す機会になっています。まさに『ブラッシュアップ』という言葉がぴったりで、今回の記事のテーマにしようと思ったきっかけでもあります。

 特に驚かされるのは、娘婿の育児への積極性です。おむつ替えも、寝かしつけも、家事も楽しそうにこなしています。私が若い頃には想像もできなかった姿であり、同時に「自分はここまで育児に関われていなかった」と気づかされる毎日です。家族のために自然と動ける姿勢は見ていて気持ちが良いものです。

 孫と過ごす時間は、私にとって【自分磨き】の時間でもあります。家族への思いやりとは何か。相手の立場に立つとはどういうことか。自分の価値観に固執せず、柔軟に変わっていくことの大切さ。これらを孫と娘夫婦が毎日教えてくれています。そして、この気づきは家庭だけでなく仕事にもつながっています。私たちの職場では品質管理において「相手の立場に立つこと」「コミュニケーションの質の向上」が欠かせません。また、娘婿のように「自分から動く姿勢」は職場でも重要です。誰かがやるだろうではなく、気づいたらまず自分が動く。育児も仕事も自ら考え行動することで結果が大きく変わります。若い世代の働き方や価値観に触れることで、私自身の考え方もアップデートされているように思います。

 孫が大きくなる頃、私はどんな祖父でいたいのか。娘夫婦にとって頼れる存在でありたいし、妻に対しても「昔より成長したね」と言ってもらえるような自分でありたい。そして職場でも、時代の変化に対応しながら、常に自分をブラッシュアップしていける存在でありたい。人生は何歳からでもブラッシュアップできる。孫の誕生はそのことを私に気づかせてくれました。これからも家族とともに成長し、より良い自分を目指していきたいと思います。

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