【三和新聞】180号

2015-11-30
第180号 老いていくもの
writer: 小谷野 一彦

今までに書いた新聞記事の殆どに娘を登場させているので、前号のWriterと同じで私も相当な親ばかを自負しています。ですので、今回も書き出しは娘の事から入ります。さて私の娘ですが今年成人を迎え大人の仲間入りをしました。親子関係というのはどんな事が起ころうとも切れることはないので、大人になっても彼女は一生私の子供です。まだ学生をしていますので完全ではありませんが多少、親としての責任は果たせたのかな???

思えば彼女の歳に私はすでに社会人として三和機工に勤めており、結婚前ではありましたが家内とお付き合いもしておりました。のろけになりますが、こんな・・・ホントこんなんでいいの?という私ですが、家内には愛想を尽かされず今も一緒にいてくれて本当に有難く感謝しています。家内との出会いから30年、三和勤めも30年を越えそれなりの人生経験を積み、大人1年目の娘が挫折するようなことがあれば押し付けがましくアドバイスでもしてやろうと思います。聞く耳を持つかどうかは彼女次第ですが・・・(笑)。とはいえ娘は出来ない事が段々と出来るようになっていく成長過程にいるので、自分で何とかしてくれるでしょう!ただ同居している私の両親はというと父82歳、母77歳になり相当な苦労もあったかと思いますが、素晴らしい子供に恵まれ(笑)とても良い人生を送られてきていると勝手に思っています。ただ、父も母もここから先どんどん出来ていたことが出来なくなっていく『老化』が進むということを体験していくこととなります。これは私も家内もここから覚悟していく必要性を常に感じています。

先日・・・昼休みに携帯電話が鳴り、確認すると殆ど掛けてきた事のない『親父』と出ていたので、これは事故か何かだと思い直ぐ出たところ「もしもし、あー・・・えー・・・美香さん病院行って・・・まだ帰ってこん・・・」「もしもし!何っ!美香がどうした?もしもし!」「プー♪プー♪」電話が切れていた・・・何で切っちゃうの!と思い、掛け直してみると「もしもし」と出てくれたのはいいが「オレオレ!一彦!もしもし!どうした?」と、チョット怒り口調な私の声が聞き取れないらしく「・・・何言っとるか~ワカランなぁ~プチッ!プー♪プー♪』切りやがった!え~どうなってんだよ~!とにかく家に帰らんといかん!取り敢えず「何かようワカランけど家で何かあったからチョット帰る!」と言い残し家に向かった。途中何度も家内に電話したが繋がらないため余計に不安を煽られ家に着いたら家内の車が無い。・・・やっぱり事故だ・・・しかし、玄関を開けると大ボリュームでテレビを見ている親父の姿が!・・・あれっ?なんか雰囲気が違うぞ?しかもチョットのんびり感も・・・「親父!どうした?」「婆さんがバイクでコケて、チョット怪我したもんで美香さんが病院に連れて・・・」やっと事の深刻さを感じ「病院はどこ?」「国立病院だ」「元の所?近くの?」「あ~・・・?!」「分かった!直ぐ行くわっ!」「あっ!ワシも行く!自分で行くで!」玄関に向かう父。・・・あれ?戸締りしないの?勝手な奴!腹立たしさも感じたが取り敢えず戸締りをし、家を出た。

親父はまだ車を車庫から出していたところだったが、まぁ~いいや!と思い、親父より先に病院へ向かった。5分もかからずの距離なので直ぐ着いたのはいいが、美香の車が無い?どうして・・・?新しい国立病院?飯村の?まさか?遠いぞ!親父はまだ来ない!美香に電話したが、やはり繋がらない!父を待つ、父来ない・・・やっぱり違う病院だったんだ!くそっ!親父めっ!さて、どうする?美香が行くとしたら可能性が高いのは市民病院だけど、親父は国立って言った・・・何か勘違いしたのだろうと踏み、市民病院と決断し車を走らせる!いまだ美香から連絡は入らないが、市民病院に到着し一通り美香の車を探すが無い・・・親父もいない・・・やはり飯村の国立病院だったのか・・・・一応救急の窓口だけでも覗いておこうと思い、待合室を覗いたが姿なし。やはり飯村か!と、親父を信じるべきだったんだと後悔し、飯村の国立病院へ車を走らせたところで、やっと家内から連絡が入った!

「電話出られずゴメンね、今どこにいるの?」「市民病院と勘違いしたから今、国立に向かうところ!」「えっ?市民病院だけど・・・」・・・なんじゃそりゃ?取り敢えず市民病院に戻り、やっと家内に会えて話を聞くことが出来た。家内曰く「お父さんには、お母さんは肘の骨折だけで命に関わることないから、取り敢えずパパには私から伝えるから電話しないでネと言ったよ!」「電話あったからここにいるんですけど!」キレ気味に私は返した。当然家内は「私は言ったもん!」・・・こちらの関係が悪くなりそうなので、それ以上は言葉を飲み込んだ。親父は家内の静止を振り切り、俺に電話をしてきたのだ。耳が遠くなって会話も出来んのにだ・・・。父は寂しかったのか、不安だったのか・・・昔の、強い親父はどこへ?あ~親父も老いたなぁ・・・。そして親父も病院に到着・・・なんでそんなに時間が掛かったのか?なんで市民病院に来たかはよく解らないが、家内から「パパに電話しないでって言ったじゃん!」親父曰く「ワシが電話したか?電話しとらんがなぁ~!」おいおい・・・痴呆か?ウソなんか?・・・どっちやねん!・・・今後、娘の話題から両親の介護話しに変わりそうです。(笑)

 

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