【三和新聞】37号

2003-12-01
第37号 「アッ!」

アッ!という間に年末である。「アッ!」なんてホントは誰も言わないが~今年も、アッ!という間にあと僅か!~本当に早いモンである。早いといえば~【早い!速い!】という御題目で書いた先月の三和新聞~実は先月号で第36回を数え・・・つまり!この三和新聞を創刊して3年間という月日が経っていたのである!・・・わおっ!である。「自分で自分を誉めたい」という女子マラソン・有森裕子さんの名台詞を借りたい気持ちも少し~また、三日坊主じゃなかったわ!という安堵感も少し~「継続は力なり」という周りの言葉に後押しされ~あとどの位続ければ良いのかしら?という不安も少し~「石の上にも三年」1つの節目として振り返ると・・・やはり「アッ!」という間の、瞬きほどである。

12月【第61号】 「アッ!」

三和新聞~創刊号。私は【犬好き】という御題目からスタートしている。読み返すと今も大したことは無いが、今にも増して文章が稚拙であり、恥ずかしい限りである。要約すると~私が小学2年生の時、愛犬の散歩途中にリードを離してしまい、騒ぎ立てて人に助けを求めることを<恥ずかしい>と躊躇したばかり、車に轢かれ死なせてしまったという事実に<判断を誤ると取り返しのつかない事態をもたらす>ことを憶え【失敗は繰り返さない】と心に誓ったことを書き記した・・・かったようである。しかし、私はその過ちを実は繰り返していた・・・。

それは5年ほど前~車で国道1号線を走っていたら、前の前の前の車が【犬】を跳ねたのである。皆一斉に急ブレーキ、そして轢かれた犬を避けて走り始めた。私も車の流れに任せようとしたが~目の前にきた時、まだその犬に微かながら息があることに気付いたのである。<助かるかも知れない>、しかし先を急いでいたので<厄介な事に巻き込まれたくない>、また<渋滞を起こしてしまう>、何より助けようとして死なれたら<もう生き物が目の前で逝くのを見るのは御免だ>、そして<多分、もう、助からない>・・・「アッ!」と思った【一瞬の判断】の中に、私は沢山の【言い訳】をつけて、その犬の横を通り過ぎようとした。真横に差し掛かった所で、犬が啼いた。その声は、助けを求める悲痛な叫びに聞こえた。それでも私は通り過ぎた・・・。100mほど走ったが、その【声】が耳から離れず、私は直ぐさま引き返した。しかし、時既に遅く~そこには後続車に轢かれ、無惨な姿が横たわっていた・・・。私は<俺は逃げたんだ>という【後悔】に苛まれ、もう決してこんな思いはしたくない!と思ったその日の帰り道~前の前の前の車が【猫】を跳ねたのである!笑っちゃうがホントなのである。何もこんな1日に2度も【試練】が起こるとは!などと思う間もなく私はハザードを点け、猫を拾い上げ、動物病院へ駆け込んだのである。猫は一命を取り留めた。よく見ると面白い雑種猫で~片目は黄色、もう片方は水色、真っ白な身体に~何故か尻尾だけが黒茶黒茶のシマ模様・・・私は【ゴッチャ】と名付け、飼うことにした。しかし、コレがまた過ちの始まりだったのである。野生化した猫は凶暴である。元々飼っていた2匹の猫達は傷つけられ、猫同志でさえそうなのだから~人間に馴れる筈もなく、エサを与えようにも引っ掛かれ、噛み付かれ~出勤している日中は狂ったように鳴声をあげていたらしく、近隣から苦情が出て大家さんにも知られてしまったのである。(今だから?話せる話である。)2ヶ月後~私は出会った場所の、車通りの少ない小道にゴッチャを放した。凶暴猫を飼ってくれるアテは無く、また保健所に連れて行くことも出来なかったからである。ゴッチャは「ありがとう」の一言も言わず、草むらの中へ消えていった。当たり前である。ポツンと残された私が思ったことは・・・・・。

時に、余計なことに首を突っ込んで【バカを見る】人がいる。【バカを見る】のが嫌だから見て見ぬフリをする人がいる。【責任】に縛られ、もがく人がいる。【責任】から逃げ、通り過ぎる人がいる。果たせなかった【無責任さ】に自己嫌悪に陥る人がいる。果たせなかった【無責任さ】に馴染む人がいる。【失敗】を受け入れて強くなる人がいる。【失敗】を誰かに押し付けて笑う人がいる・・・。

つい先日、会社帰りの環状八号線のド真ん中で、リードを引きずりながら柴犬が走り回っていた。またもや今にも車に轢かれそうである。私は迷うことなく車を止め、柴犬を追った。追い掛けて<もし、轢かれてしまったら>というリスクが頭を過ぎったが【見過ごす後悔】をしたくなかった。そして運良く、私は柴犬を捕まえられた。泣きじゃくる小学生低学年ぐらいの女の子に~無事、柴犬を引き渡せた時、今年も「アッ!」という間の瞬きの中~私は長年の【想い】をひとつ、果たせたような気がしたのである。

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