【三和新聞】112号

2010-04-01
第112号 道端での再会から
writer:菅沼 稔

今年もあっという間に4月です。入学、進級と新たな出会いのシーズンです。我家の息子達も進級し、クラス替えがあり毎年この時期から遊ぶ友達が変わるようです。その友達の影響を受けるのか遊びの内容が変わったり、しょうもない言葉(下ネタ系)を覚えて来たりもします。大人になると子供の頃程の新たな出会いは無くなりますが2年程前、自分にも生活に変化をもたらす出会いがありました・・・。

4月【第136号】 道端での再会から

地元のお祭りでお神輿を担ぐ子供達に混じって歩いていると「オゥ!どっかで会った顔だな♪」と祭りの警備をしていたオッサン(同い年なのだが)が声を掛けてきた。しばらく顔を見合わせるが思い出せない。「俺だよ!Kだよ♪」とフルネームを聞いてようやく遠い記憶が蘇る。20年ぶりの出会い?というより再会か。中学を卒業して以来だ。20年ぶりだというのに道端で見かけただけで気づかれるとは・・・自分はよっぽど変わってないのだろう。聞けば、Kは自警団に入っており祭りの警備をしているところだと言う。「お前も入らないか?」と誘われた。これまで自警団や消防団のような地元の活動とは一切無縁で少しめんどくさいと思っていたが、自警団には年齢制限があり自分の年齢からだとあと1年ちょっとで終わりとの事なので、少しは地元に貢献しなくてはと思い入団することにした。

後日、町内の公民館に呼ばれて行ってみると昔見た顔が幾つかあった。なんとなく想像はしていたが、そこは自分の想像どおり体育会系の世界だった。とにかくみんな熱い。そして地元を愛している。町内行事の打ち合わせがひと段落すると決まっていかにしてこの町を盛り上げていくかとか、自治会に加入することの大切さを熱く語るのだ。自警団に入ったお陰で隣近所ぐらいしか付き合いの無かった私はずいぶん知り合いが増えて、今まで知らなかった町内の情報を得る事まで出来るようになった。いつ来てもおかしくないと言われている東海地震が本当に来たとき、知らないご近所さんより知っているご近所さんを気に掛けるのではないでしょうか。まさに『遠くの親戚より近くの他人』である・・・なんて今までろくに近所付き合いもしてなかったくせに偉そうに・・・。

少し話しを戻してKは手筒花火もやっているらしく、しかもその代表を務めているとの事、小学校の夏祭りのイベントで手筒花火があるのは知っていたけれど自分の町内の団体がやっているとは思ってもいませんでした。手筒花火は豊橋市が発祥と云うこともあり子供の頃からよく見ていて少し興味のあった私は、彼の誘いを受けて入会させてもらうことにした。そしてある日、間近で花火を揚げるのを見る機会があった。近くで見るとかなりの迫力で、特にハネ(手筒花火の最後の方でドオンと爆発するのを、ハネと言うらしい)の音にはめちゃめちゃビビリました。そして一度自分で揚げてみたいと思う気持ちと怖い気持ちの葛藤の中、花火作りがスタートした。手筒に使う竹は買うのではなく、竹林で刈って来たのを煮て油抜きした物を使用するとの事。自分は煮て乾燥させた竹を選ぶところから参加した。自分の命を預ける竹だから自分で選べと言われ、一番丈夫そうな節の多い肉厚の竹を選んだ。ここから先は竹に衝撃を与えないように慎重に扱いつつ、節を抜き内側をペーパーヤスリでつるつるに仕上げ竹を縄で巻くのだが、この縄巻きがとにかくきつかった。次の日はひどい筋肉痛だった。そしていよいよ火薬詰めの日がやってきた。教えられるがままに火薬を詰める、この詰め方で手筒の出来栄えが決まるとの事。隙間があると手筒が破裂する危険があると聞いて、更にビビリながらも慎重に詰めてなんとか完成した。そしてついに迎えた放揚の日、小学校の夏祭りのプログラムのトリを務めるイベントで息子達も見ている。いいところを見せねば!と意気込むが、順番が近づくにつれて緊張で頭が真っ白になる。それでも容赦なく自分の番は訪れた。そして「あっ!」という間に終わった。竹取から約1ヶ月手塩にかけて育てた手筒、火柱が揚がっているのはものの数秒ですが、その数秒の後の達成感と充実感は最高でした。経験豊富な人は自分の揚げる火柱を見ながら「チョー気持ちいい!」と思えるほどの余裕があるそうです。今年の夏は「チョー気持ちいい♪」手筒を揚げようと思います。

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