【三和新聞】152号

2013-08-01
第152号 みななろう
writer: 太田 敏浩

7月の6日から7日にかけて富士山に登ってきました。今回の富士登山は生涯2度目の挑戦になります。前回は24歳くらいだったので、もう20年近い月日が経過していることに唖然とします。それはさておき、その時の登山は勢いで登った感じでした。友人のY君と午前中に富士山に登ろうという話になり、とりあえずリュックに薄手の長袖を詰め込んで、道中の靴屋で登山靴を購入し、夕方に富士吉田口5合目に到着するや『高地順応』などという言葉は知りもせず、早速登山をスタートしました。山小屋で2時間程仮眠して、ご来光は9合目から拝むことが出来ました。

8月【第152号】 みななろう

日本一の山頂から眺める下界の風景になんとなく高尚な人種になれたような気分を味わい、下山するに従い、小さな庶民へと戻っていく・・・、そんなミスチルの歌詞にあるような気持ちになったことを記憶しています。更に時間を20年ほど巻戻して、東名高速を東京へと向かう父の運転する車の車中から見た朝焼けに染まる富士山。オレンジ色に輝くその美しさは今も脳裏に焼き付いています。それが僕の富士山の原風景です。富士山、その風貌は孤高の独立峰です。なだらかな稜線を描く裾野は雄大で、その圧倒的な存在感は何度見ても心揺さぶられます。そして、遠く離れた場所からでもふと見えてしまう富士山。そんな富士山のことを・・・いつでも探しているよ~♪どっかに富士の姿を・・・と、バイクツーリングの道中♪コーナリングの最中♪こんなとこにぃ~と、山崎まさよしの歌詞のような気持ちで探してしまうのです。さて、みなさんお気付きのことと思いますが、僕は富士山のことが大好きです!初めての登頂から20年近い月日が流れてしまいましたが、ずっと・・・登りたかった!登りたかった!登りたかった!YES♪富士にぃ~だったのです♪←しつこいですか?ですので社長からの富士登山への誘いを、ふたつ返事ならぬ~ひとつ返事の勢いでOKし、集まったメンバーは老若男女色とりどりの13名。目標は13名全員での登頂であります。衰えた体力は道具と蓄えた経験で補います。まずは登山靴を購入。軽い・・・軽すぎます。レジまで靴の入った箱を運びながら、空箱じゃないかと中身を確認してしまうほどに軽い。しかし、軽さは武器。自転車のロードバイクとマラソンで身をもって学びました。お昼休憩は体力増強とダイエットも兼ねて、登山靴を履いてウォーキングに励みました。ザックに登山グッズを入れてみます。カッパ、ダウン、グローブ、トッレッキングポール、薬、等々。体調維持、天候の変化への対応、エネルギー、水補給・・・20年前とは比べ物にならない危険対応力です。ザックを背負ってみます。重い・・・重過ぎます。軽さという武器は早々に失うことになりました。引き換えに得たものは安心と安全。荷物を減らそうと取捨選択するも結局減らせる荷物はありませんでした・・・。

そんなこんなで迎えた登山当日の天候は曇天です。御殿場での雨に心萎えさせながらも、今回の登山コースである須走口五合目では雨も上がり、登山中止は免れました。しかし、かなりの強風が吹き荒れ、山頂は雲に隠れて見ることができません。須走口の標高は2000m。山小屋まで1500m程登ることになります。高度を上げるに連れ、気温が低下し、上着が必要になり、更に登ると雲の中に突入して、霧雨のような雨に見舞われカッパを着るといった具合にザックの中身は僕を助けてくれました。7日の丑三つ時、山小屋から山頂アタックスタートです。眼下に広がるのは小田原から房総半島でしょうか。夜景の美しさからご来光への期待が高まったのも束の間、強風渦巻く雲の中を登ることになります。結局、ご来光は・・・拝めませんでした。それでも微かな期待を抱いてご来光を待ち、雲が荒れ狂う空を眺めながら山小屋でもらった弁当を食べていると、もしここに一人ぼっちなら、恐怖で呑気に弁当など食べていられないだろうなぁ~と、仲間の素晴らしさを改めて実感させてもらえました。寒さに震える悪天候の中、13名全員が無事、登頂を果たせたこともまた、全員の目的意識が山頂へ向かっていたからこそだと思います。

さて、勢いで登った20年前の登山に今回の用意周到さがあったなら、スピードに安全が備わった登山になったことでしょう。若さや経験、それらを両立できることがチームであり会社なのだと思います。三和機工には若者の勢い、ベテランの培った経験があります。それらを生かし、持ち前のチームワークで、よりスピーディーで堅実なモノつくりを目指していきましょう。そしてかっこいいエンジニアに『みななろう(3776m)ぜ!』最後に、富士山の世界遺産登録おめでとうございました。心よりお祝い申し上げます。そして・・・また登るよ!

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